画像処理法解説

CP+2021オンラインセミナーの補足④

★珍しく普通の記事を書いているような気がしますが・・・

天邪鬼ゆえに珍妙な記事しか書かない主義なのですが、今回はCP+2021オンラインセミナーの補足ということで邪悪さを押さえた記事を書いています。
さて今日も、オンラインセミナーで作例としてあげた15cmアクロマート屈折とサイトロンQBPを用いた網状星雲の画像処理についての続きです。

<1コマ画像の処理は>
<コンポジットのやり方は>


<ダークノイズの消し方は>

★今回のお題はフラット補正
前回のラストで画面の周辺部が暗くなっていることを示しました。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_00394705.jpg
この周辺減光と呼ばれる現象やセンサーなどについたゴミの陰を消すために行われるのがフラット補正です。ニコンのデジカメで言うところの「イメージダストオフ撮影機能」もフラット補正の一種と言えますね。


本来一様(フラット)な明るさである光源を撮影した画像データをフラットフレームと呼びます。
例えば美術用品であるLEDトレース台を望遠鏡の筒先に密着させ、下記のように撮影します。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_19284791.jpg
★フラットフレームの撮影
フラットフレームの取得流儀には諸説あって、何が正しそうなのか混沌としています。
個人的には、下記方針で撮影しています。

★カメラのゲイン・WB・撮像温度はライトフレームに一致させる
★LEDトレース台の光量は最大にする
★LEDトレース台には減光用のシートなどは用いない
★ライトフレームを取り終えた後、フラットフレームを取り終えるまでは鏡筒~カメラの位置関係を変えない
★ライトフレームのヒストグラムは対数でチェックし、裾野が切れないようにする
★できればライトフレームの撮影時にも、ガンマやWBはいじらない方がいい
★フラットフレームはできるだけ多く(ライトフレームと同数程度)撮る
★バイアスフレームは不要。その代わりフラットダークフレーム(フラットフレーム撮影の設定のまま、暗闇を撮影した物)は必須


実際のフラット撮影の主要撮影パラメータは下記の通りでした。

[ZWO ASI294MC Pro]
Output Format=FITS files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4144x2822
Colour Space=RAW16
Gain=300
Exposure=0.0025秒
White Bal (B)=75
White Bal (R)=95
Brightness=10
Temperature=0℃


またこれと全く同じ設定で暗闇を撮影したものをフラットダークフレームとしました



★フラット補正の画像処理
①画像処理についてD-1
<フラットフレームをコンポジットする>
「バッチ」→「コンポジット」を実行し、
ダークファイルを作成したときと同じ手順でフラットフレームをコンポジットして
32bit実数型FITSで保存します。

②画像処理についてD-2
<フラットダークフレームをコンポジットする>
「バッチ」→「コンポジット」を実行し、
ダークファイルを作成したときと同じ手順でフラットダークフレームをコンポジットして
32bit実数型FITSで保存します。

③画像処理についてD-3
<ライトフレームにフラット補正を施す>
「バッチ」→「共通ダークフラット補正」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20412730.jpg

前回作成したダークファイルを設定します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20445243.jpg
今回作成したフラットファイルを設定します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20450749.jpg
今回作成したフラットダークファイルを設定します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20452102.jpg
対象となるライトフレームを指定します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20460478.jpg
出力先を設定します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20465835.jpg
補正を実行します
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20473887.jpg
④画像処理についてD-4
<ライトフレームのコンポジット>
前々回と同様に補正済みライトフレームをデモザイクし、それらを加算平均コンポジットします。

⑤画像処理についてD-5
<ライトフレームの各種処理>
1コマ画像時と同様にコンポジット済みライトフレームに対して
デジタル現像・オートストレッチ・マトリクス色彩強調・Lab色彩調整を施します

さて、前回と比べて周辺減光が改善したか見てみましょう。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_20550229.jpg
まだ完璧ではありませんが、かなり改善したことが分かります。


⑥画像処理についてD-5
<周辺減光補正ツールで微調整>

フラット補正は色々と難しい物です。そこで、フラット補正後も残った微妙なムラを軽減するために
「ツール」→「周辺減光カブリ補正」を実行します。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_06522332.jpg
ここでは周辺減光を各カラーチャンネル別に補正してみました。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_06533482.jpg

これでほぼ完成と言っていいでしょう。
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_06545898.jpg
よし。
今度こそ、めでたしめでた・・・・ええっ?

★まだコレジャナイっすか??
ええと、分かりますよ。それは・・・
たとえば


恒星に色ズレがあったり
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_07094053.jpg

一部消えてないダークノイズがあったり
CP+2021オンラインセミナーの補足④_f0346040_07105245.jpg
ですよね??

うーん
でも・・・これ、とうとう「倍率色収差」とか「大気の分散」とか『酩酊ピクセル』とかのディープな領域に入っちゃいますよ。

では、また次回。

つづく


Commented by te kure at 2021-03-26 13:38 x
最後の補正ツールでの周辺減光の微調整の際に、画像を90度回転させてからの追加調整も面白かったような気がしましたが、どうなんでしょう?
それとカブリ補正も画像を回転させて遊んだ事があります・・😅
Commented by supernova1987a at 2021-03-27 05:15
> te kureさん
光害かぶりが乗っているとLEDトレース台によるフラット補正が効かないので、色々と工夫が必要ですね。今回はナローバンド系のフィルターを使うことで光害をカットしたので、ほとんどかぶりの影響が無かったようです。
実際はFlatAideProを用いた補正をしてるんですが、これだとマニアックなので、今回は初心者の方でも扱いやすいステライメージのみで処理してみました。
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by supernova1987a | 2021-03-24 21:07 | 画像処理法解説 | Comments(2)

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