★そろそろ画像処理の補足記事も終盤です skywatcherの15cmF5アクロマート+サイトロンQBP+冷却CMOSで市街地から撮影した網状星雲の画像処理についての補足記事、いよいよ大詰めです。
<1コマ画像の処理>
<コンポジット処理>
<ダーク補正処理>
<フラット補正処理>
★前回のラストでは・・・・
ここまで気にする方は、すでに初心者では無いようなきがしますが、とりあえず
<恒星に生じた色ズレ>
<なぜか消せないダークノイズ>
この2つの問題点を退治しようというのが今回のテーマです。
★色ズレの原因と対抗策
まず、色ズレの原因ですが、2つの要素があります
①倍率色収差により、赤い像とシアン像の倍率が異なる
②大気の分散や鏡筒の撓みなどにより、赤い像とシアン像の位置が平行にズレる
これらが組み合わさると、一見補正しにくそうな色ズレになります。
<理想像>
<倍率色収差加味>
<さらに並進ズレ>
しかし、これを逆に考えれば
★赤い像とシアン像の倍率を測定して、同じ大きさになるよう補正する
★赤い像とシアン像の位置を測定して、 並進ズレを補正する
の2つのプロセスで解消できる可能性があります。
★色ズレの補正処理
注: この処理 は、ダーク・フラット補正済みのライトフレームについて、 デモザイクとコンポジットが完了した直後 に行います。 決して、オートストレッチやデジタル現像などやトーンカーブ補正を先に行ってはいけません 。(画像のリニアリティが崩れることで、恒星の周囲に黒い三日月状の像が発生します)
①画像処理についてE-1
<チャンネルごとの倍率測定と補正>
コンポジットした直後のライトフレームを開きます。
「合成」→「RGB3色分解」を実行します。
元画像は閉じ、生成されたR/G/B3チャンネルの画像について、「ウィンドウ」→「並べる」を実行します。
それぞれの画像からできるだけ写野中央に近い基準星を選択しやすくするため、「ウィンドウ」→「画像中央へスクロール」を実行します。
画面中央に近い星を第一基準星として選択します。
できるだけ画像の周辺近くにある星を第二基準星にする為、各画像を端までスクロールし、シフトキーを押しながら選択します。
任意の画像について、右クリックメニューから「基準点設定」を実行します。
基準星2つの座標が表示されるので、Excelなどに転記します。
Excelなどを用いて3画像それぞれの基準点間距離を求め、R画像の大きさを正すための補正係数を求めます。
R画像について「画像」→「画像解像度」を実行し、求めた補正係数(拡大率)を入力して倍率を補正します。
再度、画面中央付近の恒星を第一基準星として選択します。第二基準星は指定してはいけません。
「合成」→「RGB合成」を実行します。
各チャンネルに当てる画像名を正しく指定して、合成を実行します。
完成です。名前を付けて64bitのFITSで保存します。
②画像処理についてE-2
<ライトフレームの各種処理>
色ズレ補正済みライトフレームに対して
デジタル現像・オートストレッチ・マトリクス色彩強調・Lab色彩調整・周辺減光補正などを施します。
では、前回の結果と比較してみましょう。
見事に色ズレが解消されました!
※それぞれ、右が色ズレ補正処理後です。
★消えないダークノイズの正体
すみません。ここからは前人未踏のディープな領域に突入します。(要するに独自研究です)
カメラも十分に冷却しダークフレームも十分な枚数(今回は120コマ)コンポジットしたにも関わらず、ダーク減算処理で退治できないホットピクセルがあります。この正体を探るために、該当座標のホットピクセルとそれ以外のホットピクセルにどのような差があるかを自作の解析プログラムで時系列ノイズ解析してみました。その結果、下記のように明るさが平均値付近に分布せずに2値間で振動 するという異常なピクセル『酩酊ピクセル』 を発見しました。これはASI294MCとASI294MMに多く見られます。
平均値付近がスカスカなのですから、せっかくコンポジットすることで正確な平均値を持たせたダークファイルを減算しても全く当たらない(消せない)わけです。
このノイズを退治するために、存在する全ての『酩酊ピクセル』の座標を特定し、該当する座標のデータをあらかじめ排除する演算『ソフトウェアピクセルマッピング法』を自作画像処理ソフトに実装した結果、うまく退治できたのですが・・・
さすがに、これではあまりにマニアック過ぎますね。
さて、天体の画像処理における比較的メジャーなノイズ除去手法のひとつとして 「シグマクリップ」 が上げられます。
これは画像データを解析することにより異常値(統計的外れ値)を弾くものです。
ステライメージにも、このシグマクリップ機能がありますので、今回はそれを用いてみましょう。
操作は簡単で、コンポジットするときに『加算平均σクリッピング』を選択するだけです。
このオプションによりステライメージは各座標の輝度データを時系列統計解析し、異常値(外れ値)を排除してくれます。
本来は画面内に映り込んだ人工衛星などの突発ノイズを排除するための機能ですが、『酩酊ピクセル』の影響を緩和(あくまでも緩和)する効果もあります。
右の画像がシグマクリップを行った画像です。『酩酊ピクセル』による残存ダークノイズが薄れていることが分かります。
ただしシグマクリップには「非常に演算が遅い」という弱点 があります。
例えば、今回の120コマコンポジット処理だと、Core i5 7200U搭載のノートPCでも1分33秒で完了するのですが、ここでシグマクリップを用いると36分30秒もかかってしまいました。またメモリの消費量も一気に約50倍になってしまいましたので、ある程度高性能なPCが必要と言えるでしょう。
★最後に・・・
サイトロン QBPフィルタ を用いることで、『神様が仕掛けたイタズラ』=「星雲の波長・フィルタが通す波長・古典的アクロマートの色消し波長の三者が偶然一致する」を突き、「山奥でなくても市街地から」「高級アポでなくても格安アクロマートで」星雲を綺麗に写せる ことを紹介した今回のオンラインセミナーでしたが、いかがだったでしょうか。
初心者の方は、今回のブログ記事で
「なんだか画像処理が難しそう」と感じたかもしれませんが、なにもここまでやらなくても補足記事①のステップ(撮影30秒、画像処理1分)でも結構楽しめる ことを実感して欲しいと思います。
また、すでにステライメージをお持ちの天文ファンの方は、
マニュアルに書かれていないこれらの詳細な処理手順が何かのお役にたてれば幸いです。
<追記>
星ナビ2022年10月号の記事にて書いたように、ステライメージにはその後RGB合成時の倍率補正機能が実装されました。
R・G・B各画像にそれぞれ2点の基準点を打てば、上記の「①画像処理についてE-1」でEXCELを用いてやった計算作業を自動でやってくれます。
htmx.process($el));"
hx-trigger="click"
hx-target="#hx-like-count-post-32204264"
hx-vals='{"url":"https:\/\/apranat.exblog.jp\/32204264\/","__csrf_value":"2df4d35a29c8cb2e3af13c2a6a325e51cf51e306fbc31450685e0493394b0120cd8bd39c73e93bb5eafce4f31a64bf6174cc7da12f2af0adc047ec4e1ead7c27"}'
role="button"
class="xbg-like-btn-icon">