★天体写真は撮れないけれど、せっかくの晴天なので・・・・まだ左腕が使えないので、本格的な天体写真復帰はだいぶ先。
梅雨の晴れ間で、久々の晴天(ただし日中)なので、お庭の花を撮影してみることに。
さて、この「お花写真」一体どうやって撮ったのか想像できますか??
直径数ミリ程度の小さなお花です。
★まずは、正統派のマクロ撮影機材で
三脚を使えば右腕だけで撮影が可能なので、久々に「真っ当なマクロ撮影機材」を投入してみます。
カメラはニコンD810。レンズはニコンのマイクロ105mmF2.8Gです。
これに、マクロ用の2灯ライティングシステムを組み合わせてみましょう。
いやー、正統派の機材のハズなのになんだか禍々しくてカッコ良いなぁ♪
被写体はシモツケ系の白い花。数ミリのちっこい花が群を成していて、マクロ撮影すると面白いんですよねぇ。
さて、上手く写るでしょうか?

おお、なかなか良い感じです。
お次はオトギリソウ系の黄色いお花を行ってみましょう。

細かい部分まで写って、背景のボケも悪くないですねぇ。
うーん、マクロ撮影は楽しいなぁ。
★らしくないぞ!?
え?
「邪悪さが足りなくて、なんだか あぷらなーと らしくない」
ですと?
そう言えば、なんとなく物足りないですなぁ。
よし、こういう時こそ・・・
出でよ!BORG60EDカスタムッ!!
ででん!

撓みを排除する強化パーツを装備したBORG60EDに冷却カラーCMOSカメラASI294MCPを装着だ。
もちろん、ピント合わせと撮影はSharpCapで!
解像度を優先するため、あえてレデューサやフラットナーは無し。
赤外線に感光すると緑の葉っぱが枯れ葉のように茶色になるので、IRカットフィルタは併用。
光量は充分稼げるので流石に冷却は切って大丈夫でしょう。
では、下記のパラメータで・・・
[ZWO ASI294MC Pro]
Output Format=FITS files (*.fits)
Binning=1
Capture Area=4144x2822
Colour Space=RAW16
Gain=120
Exposure=0.032
White Bal (B)=92
White Bal (R)=78
Brightness=20
128コマ連写します!!
いやーせっかく邪悪な機材を投入するのですから、あえて天体写真のようにバリバリ処理してウケを狙いたいじゃないですかー。
後でシャープ処理しても背景のボケをなめらかなまま維持しようとすれば、いかに昼間とは言え、光子ショットノイズを排除するために多数枚コンポジットは有効なはず。さらに、微風でお花が微妙に揺れている状態ですから、並のコンポジットは通用しません。まるで悪シーイング下で月面を狙うような気分で、盛り上がります。
★1コマ画像撮って出しだと
個人的にBORG60EDは万能機だと思っていて、天体以外にも鳥さんとかお花とかの撮影にも有用な望遠鏡です。
まずはシモツケの花を撮った画像を1コマだけ仮処理してみます。現像処理はステライメージ9です。
RGGBデモザイク処理とマトリクス色彩強調のみを施してみました。

なかなか良い感じです。
フルサイズ換算700mmの超望遠でのマクロ撮影ですが、充分にシャープでボケ味も良好です。
ただし、強拡大すると、やや眠い感じは否めません。
★揺らいでいる対象のコンポジットといえば・・・
ここで、背景ボケを荒らさずにシャープ処理を施すために、128コマコンポジットを試みます。
ただし、前述の通り微風で揺らいでいますので、普通にコンポジットしてもダメです。
ちなみに、位置合わせ無しでコンポジットすると、この始末です。

見事に撃沈。もう
笑うしか無いですね。
こういう時に威力を発揮するのが・・・
そう、月面のスタッキングでお馴染みのAutoStakkert!3です。

元画像を200x200ピクセルの小エリアに分割してアライメントを実施。
128コマをスタックしつつ、良像60%を選別して演算させてみます。
すると・・・
ででん!
※左:位置合わせ無しコンポジット 右:AS!3でスタッキング
わはは。雲泥の差ですなぁ。
スゴいぞAS!3♪
もちろん、これで終わりません。
お次は、やはりレジスタックスでしょう(笑)

ちなみに、左下に出しているリンギング防止のパラメータを調整すると不愉快な黒縁とか白つぶれを軽減できます。
せっかくの背景ボケを荒らさないように、各レイヤーのデノイズの量も適宜調整。
さらに!
ここでステライメージ9を投入!!
画像を一度カラー画像を複製しモノクロ画像にして、元画像とL-RGB合成を施します。
これにより、ウエーブレットで生じたカラーノイズを殲滅します。
そして、合成後の画像にホット・クールピクセル除去フィルタを掛けます。
別にホットピクセルやクールピクセルが出ているわけでは無いのですが、若干のジャギーが見られたのでこれを緩和するのが目的です。
さて、ここまでの処理でどこまで画質が向上したか見てみましょう。
ででん!!
※左:1コマ元画像 右:画像処理後
おお、素晴らしい解像感ととろけるようなボケ味の両立に成功です!!
この辺りも、何とも言えない風合いで、良い感じです。
★1コマ画像をフォトショで処理じゃダメ?
実は、フォトショップにはなかなか優秀なシャープ系フィルタが備わっています。
たいていの写真は、このスマートシャープ一発で事足りるのですが、今回の撮影ではどうでしょうか。
では、最後に「1コマ画像をフォトショのスマートシャープで処理」した物と「天体用ソフトフル動員で全力処理」した物とを比較してみましょう。
※左:1コマ画像をフォトショで処理 右:フル動員
ふはははは。
まるで勝負にならぬわッ!
やはりアレだな。
合焦面はともかくとして、暗めの背景ボケとかは星雲みたいなものなので、通常の画像処理ではなく天体用の画像処理テクニックが効く、ということでしょうなぁ♪
完成画像はこちら。
ピクセル等倍とかにしないと、鮮明さは分からないけど。
さあ天文界隈の皆様、普段天体画像処理で磨いたテクニックを「お花写真」で披露してみませんか??
・・・誰もやらないって(笑)