★Neptune-CⅡの活用法
あらたに生えてきたPlayerOneの新鋭カメラNeptune-CⅡについては、そのノイズ特性を中心としたファーストインプレッションを記事にしたのですが、
今回は少し変わった使い方(?)を試してみることに。
それは・・・・オートガイダーとして活用しちゃえ!というものです。
せっかくST4互換ポートがついていますし、元々赤外感度も高いので色々と工夫できそうだったからです。
★本音を言うと・・・・
当初、StarQuest80は下記のような運用を考えていました。
「AZ-GTiに載せてNeptune-CⅡ+L-eXtreamで電視観望もしくはお気軽星雲撮影」
です。

ちなみに、2等星が怪しいくらいのコンディション下でしたが、ゲイン200・15秒露光の79コマコンポジットで、こんな感じで網状星雲を写すことができました。
ただし、StarQuest80が「デュアルナローバンド系フィルタで化ける」タイプだと判明したことで欲が出て、早々にフルサイズ対応に改造しちゃったのですね。
こうなると、元々付属していたドットサイトファインダーとか、肝心のNeputune-CⅡが『余って』しまうという事態に(笑)
★となれば、アレをやってみよう前回の記事でも書いたように、アクロマートは何でもデュアルナローバンドフィルタ適性があるわけではありません。例えば、MILTOL200はC線とF線のピント位置が一致しないのでアウトです。ただし、シングルナローバンド+モノクロカメラで撮影すると強力な星雲撮影鏡に変身します。
そこで、MILTOL200を徹底強化してみることにしました。
さて、MILTOLがいわゆるBORG規格互換であることは有名ですが、これはあくまでも接眼部がM57規格であるという意味。ところが、MILTOLには秘められたもうひとつのBORG規格互換を有しています。
それは・・・なんと、フードの外径が80mmということで、これはミニじゃないBORG規格と一致します。そうすると、ヘリコイドにピントロックが無い点や若干の撓みが生じる点などの弱点がK-ASTECのBORG用強化バンドなどの併用で一気に解消できます。鏡筒に撓みが出ないとなれば、オートガイドの精度も向上することが期待できます。
そういえば、10年前にポチったまま活用できずに死蔵している高価なパーツがあったなぁ。
ならば・・・・
ででん!!
なんと、前代未聞の(?)オフアキ装備ハイパーMILTOL200が爆誕っ!!もちろん、オートガイド用カメラは、Neptune-CⅡだっ!!フードと接眼部を強化バンドで固定しているので大幅に撓みが減少し、しかもピントロックも兼用っ!!さらにあぷらなーと流プレート強化術(2枚のプレートを90度ズラして装備し、上下方向の撓みと水平方向の撓みを押さえ込む)でガッシリサポートっ!!
どうです? この禍々しさ♪
ふはははは。さすがに1諭吉未満のMILTOL200をここまで強化する酔狂な輩は居るまい。
★Neptune-CⅡをオートガイダーにするにはさて、ここで1つ問題があります。最新のカメラであるが故に、ネイティブドライバをインストールしただけではPHD2からNeptune-CⅡは認識できません。これを回避するには、ASCOMの・・・・
・・・・と、ここまで書いたところで、「本家」シュミットさんのブログに(書こうと思った内容よりも遙かに詳しい)記事がアップされちゃった。
よし、ここはサボって参照リンクを貼らせて頂きましょう。
ま、そういうことです(笑)
★人生初オフアキをNeptuneで!実は、自作のプレートビームスプリッタ式オンアキシスガイダーでの精密ガイドは経験あるのですが・・・
お恥ずかしながら、オフアキシスガイダーを使うのは今回が初めての経験となります。昼間のうちに、ピントだしや各種パーツの組み合わせを試行錯誤して、いざ出撃!
行け、Neptune-CⅡ!人生初のオフアキ作戦を成功に導くのだ!
ほうほう、なるほど。若干のゴーストと非点収差が出るもののオートガイドには支障は無い模様。
さっそく、ASI294MMPにHαナローバンドフィルタを装着し、北アメリカ星雲付近をテスト撮影してみます。
すると・・・ででん!!
30秒露光×20コマの位置合わせ無しコンポジットだが、ガイドズレが無い!か、拡大してみよう。
おお、全くガイドズレが見えないぞ。素晴らしい♪光路内に突出したオフアキプリズム(MILTOLは鏡筒内に小さめの絞り環が固定されているため、かなりプリズムを伸ばさないと光を受けられない)の影響で回折光条が出ているけれど、そんなことはどうでもいい。
とにかく、人生初・・・人生初のオフアキ作戦が成功したのです!!うひゃー、うれしいッ!!偉いぞNeptune-CⅡ、キミはオートガイダーとしても「できる子」だったのだな。
よし、では、早速コンポジット枚数を80コマに増やして、位置合わせ無しコンポジットを施してみよう。これは、40分間のガイドエラーをチェックするテストになる。
ピクセル等倍で見ると、さすがにちょっぴりガイドエラーが見られるが、40分だから仕方が無いよ。恐らく鏡筒では無くオフアキ近辺での撓みが出たのだろうなぁ。
では、この際だ。もう一発、初チャレンジというヤツをやっておくか。
なんと、あぷらなーと邪道流にあるまじき3分間という「長」時間露光!!これにダークやフラットも用いて、3分露光×16コマコンポジットで画像処理だっ!!
これで、ほぼノートリミング。素晴らしい。
MILTOL+オフアキ+Neptune-CⅡ+Hα+ASI294MMPという新たな戦法、大成功です。
・・・え?「邪悪さがチョッピリ足りない」ですと?
ご心配なく。実は、上の作例にはとてつもなく邪悪なスパイスが仕込んであります。
それはっ!!
MATLABで書いた自作画像処理プログラム「邪崇帝主(ジャスティス)」に密かに実装されているチート機能。その名も「ディープラーニング・デノイズ」なのじゃー!
実は、先日の天リフ「ガチ天」トークのフリップにも、コッソリと忍ばせてあった機能名。さすがに、あのトークでこれに触れると「全てが台無し」になるので、当然自主的にスルー。
でも、今回の様に絶対的な露光量が不足(3分×16コマ=高々48分露光)してる場合に消しきれないショットノイズを誤魔化すのにはなかなか有用。画面を4分割してグラボのメモリ内に格納し、それぞれを学習済みニューラルネットワークを用いた深層学習を利用して残存ノイズを除去した後にモザイク合成して吐き出す、という邪悪な機能。しかも、処理時間は1300万画素でわずか4.7秒という爆速仕様なのじゃー。
ちなみに、邪崇帝主によるディープラーニング・デノイズ処理の効果は下記の通り
※左:デノイズ前 右:デノイズ後
ああ、面白かった♪天体写真は、いいなぁ。