機材レビュー

PlayerOne Xena_M インプレッション③

★Xena-Mレビュー第3弾

シュミットさんのご厚意で試用させていただいているPlayerOne Xena-Mのレビュー第3弾です。
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前々回のレビューでユニティゲインの測定ごっこが完了しました。

これで、任意のゲインに対して輝度値を光電子数に変換することができるようになりました。
では、さっそくやってみましょう。

★Xena-Mのリードアウトノイズ測定ごっこ
リードアウトノイズは、一種の輝度測定誤差のようなものだと解釈しています。
これはザックリ言って(量子効率やピクセルサイズが同一の場合に)どれだけ暗い天体を撮影可能か(背景と弁別可能か)を示すものですので、星雲などの撮影可能性を探る上では注目したい要素のひとつです。

測定の方法は色々と考えられますが、時間ノイズではなく空間ノイズに着目した下記の方法がメーカー公称値と比較するのに具合が良さそうなので、今回もこの手法で測定ごっこしてみます。

ただし、手作業でいろいろと計算するのは面倒くさいので、MATLABで処理プログラムを書き、一気に処理することにしました。
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Xena-Mにキャップをした状態でゲインを0~480まで60刻みで9段階に変化させ、0.0100ms露光を行った画像(いわゆるバイアスフレーム)を用いてノイズ量の変化を解析します。

測定の結果は次のようになりました。

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メーカー公称のグラフ(https://player-one-astronomy.comの製品情報より)だと下記のようなので若干数値が異なりますが、全体的な傾向としては同様と言っていいでしょう。
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いわゆるデュアルアンプやハイゲインモードは搭載されていないセンサーなので、ゲインアップとともにリードノイズが減少する素直なタイプと推定されました。
メーカー公称ではゲイン300までの仕様しか分からないので、300~480の間でグラフが奇妙な変化を示している(ように見える)要因は不明です。不安な方はゲインを300までに止めておいた方が無難かもしれませんね。


★果たして冷却CMOSに比肩する性能なのか?
ここで、視点を変えて、前回の記事でレビューしたダークノイズ系のお話に戻ります。

前回の測定ごっこで驚いたのは、非冷却にもかかわらずホットピクセルが異常に少ないためダーク減算無しでも実用になりそうな印象を受けたことです。
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姉妹センサー(IMX174)を搭載したZWOのASI174MC-Coolを常温で運用した場合と比較して、上記の赤で囲んだエリアのノイズがゴッソリと消えています。
詳細は前回の記事を参照していただくとして、要するに「ホットピクセルとアンプグローの両方が少ない」という驚くべき結果でした。

ただし、ASI-174MC-Coolは冷却することでダークノイズを軽減することができますので、今回は非冷却Xena-Mと冷却したASI174MC-Coolを対決させてみましょう


★-10℃まで冷却したASI174MCと対決する

まず最初にASI174MC-Coolのノイズが冷却することでどのように変化するのかを測定してみました。

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このように、22℃から0℃に冷却することで、右上に伸びた群がグッと減ってホットピクセルが減少したことが分かります。この傾向は-10℃まで冷却することでさらに顕著になります。

では、いよいよ対決です。

-10℃に冷却したASI174MC-Coolと非冷却Xena-Mを比較してみると・・・・

ででん!!
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興味深い!!

このグラフの比較から下記の3点が推測されます。

①アンプグローについて
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上記の赤で囲んだエリアを見比べると明らかなように、Xena-Mは-10℃まで冷却したASI174MCよりもアンプグローが少ないことが分かります。
基本的にアンプグローはダーク減算以外には対処法がないため、Xena-Mが圧倒的に有利だと言えましょう。


②高輝度のダークノイズについて
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冷却することで格段にホットピクセルが減少したASI174MCですが、それでも上記のように非冷却のXena-Mには及びません。
要するに、Xena-Mは非冷却でありながら-10℃まで冷却したASI174MCよりも高輝度ホットピクセルが少ないのです!!
これは大変なことで、(一種のピクセルマッピングと推測される)DPS機能の効果は絶大だと言えると思います。


③低輝度のダークノイズについて
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ただし、ASI174MCの方が優れていると思われるエリアがあります。
上記の赤で囲んだエリアをよく見ると、Xena-Mの方が『太い』のですね。
時系列解析をしたグラフの縦軸はフレーム毎の輝度の揺らぎ(標準偏差)を示します。つまり、このエリアに該当するピクセル(低輝度のホットピクセル)に関しては、ASI174MCよりもXena-Mの方が不安定だと推測されます。センサーを冷却することのメリットはホットピクセルなどのいわゆるダークノイズを軽減できることですが、より詳細に言えば「揺らぎが少なくなる」効果も無視できません。では、実際のダークフレーム中で何が起こっているのか見てみることにしましょう


★30秒露光のダーク画像を比較する

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これは64コマコンポジットしたダークフレームの右下隅をピクセル等倍で拡大したものです。
先ほどの①と②で予測したとおり、非冷却のXena-Mは冷却したASI174MCと比べて「高輝度ホットピクセル」「アンプグロー」の双方で勝っていることが分かります。

次に、アンプグローの影響が少ない画面中央付近についてピクセル300%拡大したものを比較してみます。
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ああ、これが先述の③の影響かッ!!
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-10℃まで冷却したASI174MCは上記のように低輝度のホットピクセルの『揺らぎ』が少なくなっているため、Xena-Mよりも「背景がなめらか」になっています。

恐らくXena-MのDPS機能にも一種のスレッショルド(閾値)が存在していて、それ以下の低輝度ホットピクセルが生き残っているのだと考えると辻褄が合いそうです。
特に淡い星雲を撮影した場合はXena-Mよりも冷却したASI174MCの方が有利になる局面(炙り出ししても像が乱れにくい)がありそうです。


★すごく納得♪
さて、今回の解析ごっこは、非常に納得できる結果となりました。
暫定的結論として

<両者を非冷却運用した場合>
○全ての点においてXena-Mの圧勝!

<174MCを冷却した場合>
○高輝度のホットピクセルは174MCの方が不利
○背景のザラツキの点ではXena-Mの方が不利かも

ということが言えそうですね。


★★★お約束★★★
①測定&解析作業についてはミスしている可能性もあります。正確性は保証できません。
②各種の解釈については、あくまで個人の感想レベルです。
③「バイアス減算を施した場合のリードノイズ」「ダーク減算を施した場合の背景乱れ」の評価に関しては、
 今後の課題ですので、まだ何も言えません。

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by supernova1987a | 2021-11-04 02:58 | 機材レビュー | Comments(0)

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