機材レビュー

PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①

★発売前から大注目していたカメラ

最近、PlayerOneの天体用CMOSカメラが次々と登場してます。すごく元気なメーカーさんだなぁと注目しています。
あぷらなーともNeptuneCⅡを購入して、色々と特性を調べて見たり、サイトロンジャパンさんのご厚意でXena-
Mをお借りしてテストしてみたりしたのですが、今回、テスト用のApollo-M MAXをお借りできましたので、インプレッション行ってみましょう♪

このApollo-M-MAXは非冷却のモノクロCMOSカメラで、機種名からも分かるとおり本来は太陽面撮影用の製品です。
しかし、その仕様が非常に興味深いため以前から非常に気になっていました。

個人的に気になっていたのは下記の3点です

①「でかぁい!説明不要ッ!!」
ピクセルサイズが、なんと9μmというモンスター級の大きさです。同じ露光時間でもそもそも1ピクセルに入射してくる光子の数が多いわけですから、暗い天体の撮影にも活躍することが期待されます。

②「コンニャク現象だと?知らぬな!」
一般的なCMOSカメラはローリングシャッターを搭載しているため、高速で移動する被写体を撮影すると、コンニャク現象(ローリング歪み)と呼ばれる現象で、像が変形してしまいます。Apollp-M MAXはグローバルシャッター搭載機ですので、この歪みが原理的に生じません。しかもXena-Mよりもフレームレートが高いため高速動画撮影などにも活躍しそうです。

③「ホットピクセル&クールピクセル、滅すべし!」
たいていのCMOSカメラには、輝点ノイズとなるホットピクセルや黒い縮緬ノイズをもたらすクールピクセルが存在します。これらを滅殺するためには、冷却したりダーク減算したりクールファイル補正法を用いたり、様々な工夫が必要ですが、ApolloM-MaxにはDPSといわれる一種のピクセルマッピング機能が実装されており、これらの不良ピクセルが「一掃」されていると謳われています。撮影や画像処理が非常に簡素化できる可能性があります。

その他にも、グローバルシャッター機の宿命とも言える横シマノイズ(縮緬ノイズではなくバンディングノイズ)が少ないと謳われていたり、電子冷却では無いけれどパッシブ冷却(要するに効率の良い放熱構造)を有していたり、とにかく面白そうなカメラだと期待していたのです。


★『太陽神』降臨!!
そんな折、サイトロンジャパンさんから「発売前のApollp-M MAXを試用してみませんか?」とのお誘いがありましたので、それはもう
「ぜひ!ぜひとも!!」
とお願いしました。

というわけで・・・・

ででん!!

PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_19211806.jpg
おおー、サンライトイエローの六角形ボディがまぶしいぞ!
かっちょええ♪

では、テストに移りましょうか。


★なにはともあれコンバージョンファクタ
巨大なピクセルピッチを活かすため、基本的な性能が出ているのかどうかを解析ごっこしてみましょう。
というか、そもそもApolloM-Maxはユニティゲインがいくらなのか公開されていないんですね。
ここを求めないことには各種のノイズ特性が(光子数に規格化できないため)計算できませんので、非常に重要な作業です。
PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_19314683.jpg
ゲインを色々に変えながらフラットフレームを撮影し、光子ショットノイズの量を解析することでゲインの挙動を推測します。
PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_19330787.jpg
解析の結果、ユニティゲインは約274前後だと推定されました。
PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_19354752.jpg

★ハイゲインモードは作動しているか?
公式サイトによれば

HCG モードは、読み出しノイズを大幅に低減し、低ゲインと同じ高ダイナミックレンジを維持できます。Apollo-M MAX のゲイン設定が 145以上になると自動的にオンになります。」

とあります。要するに、ある程度以上のゲインでリードノイズがガクッと減る特殊なモードを実装しているという訳ですね。
ZWOのASI294シリーズなどでもお馴染みの機能ですが、ApolloM-MAXもこの機能が作動しているかどうか実測してみましょう

まずは、ゲイン0~480まで60刻みでバイアスフレームを取得し、光電子数に規格化したリードノイズ量を解析してみます。
PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_20162824.jpg
リードノイズはその解釈がややこしいのですが、端的に言えば「入射してきた光子の数の測定精度」に近い物だと思ってください。
たとえば、上のグラフからはゲイン0だと光子数0個と光子数16個を見分けることがギリギリですが、ゲイン300だと光子数0個と光子数2個を見分けることができることが分かります。また、ゲイン120~180のどこかでガクッとノイズが減っていることが分かりますので、さらに詳細に見てみましょう。

ゲインを142~150まで1刻みで変化させながらバイアスフレームを撮影し、リードノイズの変化を調べて見ると次のようになりました。
PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_20225165.jpg
公称ではゲイン145以上でHCGモード発動とのことでしたが、実際にはゲイン146で発動するようです
実際の撮影では、ゲイン145ではなくゲイン146を選択することでノイズが少なくダイナミックレンジの大きな像が期待できそうですね。


※ここでいうダイナミックレンジとはEMVA1288規格で定義された「フルウェル÷リードノイズ」の値を指します。
「どれくらい暗いと黒つぶれし、どれくらい明るいと白飛びしてしまうのか」という一般的なイメージとは異なり「明るさを何段階で表現できるか」を指すデジカメ特有の性能指標です。


★お天気が悪いので、実写では無く「アレ」を撮ってみる
本来天体用のカメラではありますが、高いフレームレートを持つグローバルシャッター機ですから、天体写真だけに使うのはもったいない気がします。そこで、久々にあぷらなーとが得意とする「アレ」を撮影してみましょう

それは・・・

PlayerOne Apollo-M MAX インプレッション①_f0346040_20343514.jpg
出でよ、霧箱ッ!!

はい。百均の材料だけを使って作製できる『あぷらなーと式・拡散霧箱』で宇宙線を高速動画撮影する、という遊びです。
この目的のためには、
 ①高感度であること
 ②フレームレートが高いこと
 ③バンディングノイズが少ないこと
などが重要で、ApolloM-MAXの仕様はまさに最適です。

さて、ApolloM-MAXの性能は発揮できるでしょうか??

ででん!!


素晴らしい♪

まるで火球のような特大ミューオンが霧箱の中にヒットした瞬間を見事に高速動画撮影することができました!!



★というわけで
肝心の天体画像を撮影できていませんが、非常に高性能なカメラであることが期待される結果となりました。
次回は、ダークノイズの解析を行ってみようと思います。
今後、ミルククラウンの高速動画や星雲撮影にも活用していきますので、お楽しみに♪


★★★お約束★★★
①発売前のテスト機体ですので、市場に出た個体が同じ性能かどうかは不明です
②各種の数値は、あくまでも素人であるあぷらなーとの独自解析によるものなので、その精度を保証するものではありません


Commented by せろお at 2022-02-01 22:41 x
「霧箱」を「桐箱」と勘違いして桐の大きな箱の中に入って放射線が見えるか試したという文系の同僚のことを思い出しました。
その話を聞いた理系の私は「桐箱」自体を知りませんでしたが・・・

検証内容は難しくてよくわかりませんが、PLAYER ONEに興味が出ました。
まだAsiAirやステラショットでは対応していないようなので、SHARPCAP等でパソコンから操作ですかね。
次回、CMOSカメラを買うときに参考にさせていただきます。

それにしてもASKARとか新興会社の開発スピードや性能の高さは凄いですね。
日本のメーカーも頑張らないと!
Commented by supernova1987a at 2022-02-02 08:16
> せろおさん
最近の海外メーカーさんは本当に元気ですね。
安くて楽しい新製品が次々と出てくるのは嬉しい限りです。国産メーカーさんにも頑張ってもらいたいですね!
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by supernova1987a | 2022-01-30 20:49 | 機材レビュー | Comments(2)

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