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CP+2022のオンラインセミナーに登壇しました

★CP+2021に引き続き・・・
昨年のCP+2021ではサイトロンジャパンさんのオンラインセミナーに呼んでいただけたのですが、なんと今年も登壇の機会をいただきました。
ほとんどのメーカーさんがプロや専門家さん主体のセミナーを展開している中で、私のような素人にもお声がけいただけるとは本当にありがたいことです。
色々なユーザーさんが工夫を凝らした楽しいセミナーを行われるでしょうから、なんとか「独自性」を演出したいものだなぁ・・・と悩みました。


★お題は?
さて、今年のセミナーでも世話役をしていただいている天リフ編集長さんからは、下記2点のご提案をいただきました。

①PlayerOneのカメラネタや星ナビに連載中の取り組みなどからアレンジ
②マニアックなテーマを分かりやすく

「ぐぬぬぬぬ・・・これは難題!!」

すでにサイトロンジャパンさんからは、レビュー用のテスト機としてPlayerOne Xena-MとApolloM-MAXをお借りしていたのですが、なかなか方向性が定まりません。
悩んだ結果、「昨年のセミナー内容をさらに発展させる」を主軸に構成することにしました。
要するに、アクロマートで市街地から星雲撮影を楽しむというテーマに沿うことで提案①の後半をクリアし、昨年の問題点を解決する救世主としてPlayerOneのカメラを登場させることで提案①の前半をクリア。さらに、昨年のセミナーを見た方と見ていない方の両方が居ることを想定し、昨年のセミナーの要点を「違ったレトリックで説明する」ことで提案②をクリアしてしまおうという邪悪な作戦です。


★機材が足りない!
昨年のセミナーでは「アクロマート+QBP(などのデュアルナローバンド系フィルタ)+カラーカメラを用いることで、市街地からでも安価に星雲撮影が楽しめる」という主旨のトークを行いました。さらにその発展型として、アクロマート+シングルナローバンド+モノクロカメラの三連装砲を紹介し、QBPⅡの弱点として「赤外ハロの発生と2色混合による色彩表現の限界」と「相性の悪いアクロマートがある」点についても補足説明をしたのでした。

また、現在連載させていただいている星ナビさんの「Deepな天体写真」では「市街地から星雲を撮る」をメインテーマに、
 ○EDアポ3本+シングルナローバンドフィルタ
  ↓
 ○アクロマート3本+シングルナローバンドフィルタ
  ↓
 ○アクロマート1本+デュアルナローバンドフィルタ
というように、徐々に経費を削減する方向で話を進めていました(時系列的にはこちらが正しい)
また、デュアルナローバンドフィルタと相性の悪いアクロマートの見分け方を、収差曲線の解釈と日中の写真における前ボケと後ボケの色収差傾向に着目するというアイディアを元にして書いたのでした。

そこで、今回は
「アクロマート+シングルナローバンドの3連装を安価に実現する」
という邪悪なテーマを主軸に据え、その突破口としてPlayerOneの非冷却モノクロカメラXena-Mを投入するというストーリーを考えて登壇内容を打診しました。

すでにブログやTwitter上でXena-Mのレビューを行っていたので「星雲が写りやすいカメラ」だということは確かめていたのですが、ここで大きな問題が勃発します。
Xena-Mは1機しか手元にないので・・・
「カメラが足りない!!」


★時間との勝負
この作戦の実行のためには、どうしてもジーナさんが3人必要です。そこで
「ええい、勉強代だッ!!」
とばかり自腹でXena-Mを2機ポチりました。
さらに、Xena-Mに直接ねじ込めるよう透過幅7nmのシングルナローバンドフィルタ3種(Hα・OⅢ・SⅡ)も追加ポチしました。
ここまできたら、もう撤退不能の背水の陣です。

ところが・・・・
「全然晴れない!!」
セミナー当日が迫る中で、正直いって絶体絶命のピンチです。


★奇跡の晴れ間到来
そんな中、2月5日に「1時間程度の晴れ間が訪れそう」との予報が出ました。もうこのチャンスを逃すとセミナー失敗という大惨事になります。
本当はリスキーな機材を組むのは危険なのですが、「安価に3連装&QBPでは撮れない鏡筒を使う」という主軸は譲れないので、非常に安価だがデュアルナローバンドで撮影すると『イクラ現象』で撃沈するモダンなアクロマートのMILTOL200を3連装化し、赤道儀も普段使いのEQ6Proではなく安いが追尾精度の悪いEQ5GOTOを用いて、明るいうちにセットアップを行いました。
本来、3色ナローバンド撮影はフィルタの交換やその都度生じるピント調整などが必要なので非常に手間が掛かりますので1時間の晴れ間ではどうしようも無いのですが、こういうタイトな条件下こそ3連装砲の独壇場です。星ナビ11月号でも述べたように、晴れ間が短くても「3波長の画像が全て同じコマ数だけ一気にそろってしまう」からです。

というわけで・・・

ででん!!
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とりぷる☆ジーナさん、出撃ッ!!

一応『物語』の流れを

アクロマートはお安い!
 ↓
でもアクロマートは色収差で撃沈
 ↓
デュアルナローバンドならEDアポ級に化けるよ!
 ↓
でも古典的アクロじゃないMILTOLくんはイクラ現象で撃沈
 ↓
シングルナローの3連装なら化けるよ!
 ↓
でも冷却モノクロCMOSカメラ×3匹は異常
 ↓
救世主ジーナさん降臨!!

という構成にしたので「おい、赤道儀や周辺パーツが高いぞ!」と言われないように、極力シンプルなセットアップにしました。
補強バンドや精密ヘリコイドはもちろん、高精度な微動雲台やファインダーすら取り外した「素のMILTOL」で勝負です。

テスト撮影対象はバラ星雲をセレクト
いつものノータッチガイドでゲイン300の30秒露光のコマをHα・OⅢ・SⅡそれぞれ128コマゲットしたところで、雲の大群が押し寄せて撮影終了となりました。


★画像処理の時間が無い
セミナー中でも述べたとおり、Xena-MのDPS機能は非常に優秀で、恐らくは「出荷前にホットピクセルの座標を測定してピクセルマッピングで殺す」ということをやっているのではないかと推察するのですが、驚くべき事にASI174MC-Coolを-10℃までキンキンに冷やした場合よりもホットピクセルが少ないという、かなりチャレンジングなテイストに仕上げられています。
ただし、以前ブログでも述べたように、比較的低輝度のホットピクセルは温存されていること、ASI174よりもかなり少ないもののアンプグローは残っていること、を考慮して、ダークファイルも各カメラにつき128コマを取得しました。また、バラ星雲の淡い部分を炙り出すことを想定して、フラットとフラットダークも各256コマずつ取得しました。

星ナビでステライメージの使い方を書き始めたこともあって、画像処理はステライメージ一本槍で行いたかったのですが、セミナーまでに時間が無いという緊急事態につき、クールファイル補正法・コスミカット法・倍率色収差補正・回転ズレ補正などの難儀な処理は、邪悪な自作ソフト『邪崇帝主』でやっつけました(笑)

すると・・・
ででん!!
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ふはぁ・・・
か、勝ったぞッ!!

個人的に、非常に際どいファーストライトだったので、セミナー当日までブログやTwitterでもリザルトは秘匿し、セミナーをご視聴いただいている皆さんにもドキドキ・ハラハラしていただくことにしました(笑)。


★資料はどうするか?
アッベ数とかハルチングの公式とか収差曲線などのマニアックな用語や数式を排除することは決めていたので、直感的に色収差補正の概念を感じてもらうための秘策として「レンズを1枚追加する毎に、くにゃりと曲がる」というレトリックを用いました。本当は、その「曲がり」を視覚的に観察できる『へなちょこマスク』を考案して実験していたのですが、尺の関係で割愛。
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また、レンズを3枚玉にした場合の3色色消しになる『本来の』アポクロマートとEDやフローライトを用いた2枚玉の『いわゆる』アポクロマートとの違いを説明するフリップも、物語の流れが分かりにくくなるので割愛しました。
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また、3色ナローバンドのパレット合成の種類を感覚的に示す早見図も用意していたのですが、あまりにマニアックなため、割愛。
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その代わりに、RGB合成とRC合成の違いに関するフリップは昨年のセミナーよりも分かりやすい物を用意しました。
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 ※昨年のセミナーでの説明(1枚フリップ)
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 ※今回のセミナーでのフリップ(4枚仕立て)

その他、本来のXena-Mの『必殺技』であるグローバルシャッターの特殊性については、実写例だけでなく比較的イメージしやすい模式図を用いました。
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結局、第一弾として作製した200枚のスライドを一度60枚に減らした後、さらに90枚を追加して、最終的に154枚のスライドで本番を迎えました。
完成したのはオンエアーの30分前。当然、台本なんて用意していません(いつものことですが)。この日のプログラムの最終登壇だったため「最悪、質疑の10分使ってもいいですよ」と言われていましたので、40分ジャストを目安にトークを行うことにしました。


★ドキドキのライブ配信
いよいよドキドキの本番です。
途中で「プラネタリー」がどうしても言えずに噛み噛みになったり、次の台詞を考えているときに発してしまうクセ「え~~」を多発したり、うっかり「カンカン」という方言が出たりなどの失態はありましたが、フォロワーさん方の「邪悪ぅ!」「ででん!」という暖かい合いの手チャットに支えられ、乗り切ることができました♪
ご視聴いただいた皆さん、登壇の機会をいただいたサイトロンジャパンさん、お世話いただいた天リフ編集長さん、本当にありがとうございました!!

なお、セミナーはアーカイブされていますので、見逃した方もぜひ♪


Commented at 2022-03-14 17:40 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by supernova1987a at 2022-03-15 21:57
> はねっちさん
「カン」なら缶だけど「カンカン」なら空き缶を指すというニュアンスは四国と関西圏の人にしか分からないかなぁ。分かってくれて嬉しいです!

さて、最近はアクロマート+QBPを楽しむ方が増えてきたように感じるので、これからも頑張ります!!
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by supernova1987a | 2022-03-09 02:21 | イベント | Comments(2)

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