★前代未聞の暴挙で年越し
令和4年から令和5年への年越しでは、手持ちのアクロマート鏡筒10本とCMOSカメラ10機を同時運用するというプロジェクト、題して『ひとり星まつり』を敢行しました。
いったい単独で何本まで同時運用(星雲撮影開始まで辿り着くことが成功条件)できるのかについては過去数回チャレンジしたことがあるのですが、自己ベストは5本でした。今回の『ひとり星まつり』では、この記録を一気に倍に増やそうという極めて意欲的かつ無駄な挑戦です(笑)
★全艦マルチ隊形ッ!!
昭和の宇宙戦艦ヤマト世代の皆様には『死亡フラグ』として有名な「マルチ隊形」ですが、どうしてもコレを実現したかったのですね。念のため補足しておくと、マルチ隊形とは、旧作では拡散波動砲装備の戦艦や巡洋艦を横1線に並べたものを、さらに上下2段に展開(だから『マルチ』)することで、全艦の射線を確保して白色彗星帝国に波動砲の一斉砲撃を行うという一撃必殺の陣形でした。さらに、近年公開されたリメイク版ヤマト2202では、艦隊統制役のアンドロメダ級が5隻いたという新設定で、2段ではなく5段に展開するというまさに『マルチ』なアツい陣形を演出してくれました。
まあ、マルチというからには最低3段以上だよなぁ、とかねがね思っていましたので、今回の『ひとり星まつり』でも『3段』に見える演出を実現したかったのです。
もちろん、単に展開するだけではダメで「艦隊が3段に見える位置に撮影天体が来る」「ちゃんと一斉露光する」という難題をクリアしないとインチキになりますので、なかなか大変です。
クリスマスから機材展開を始め、天候悪化や体力不足や機材トラブルで何度も失敗した結果・・・
4日目、ついに
ででん!!
「全艦マルチ隊形!一斉砲撃にて馬頭星雲帝国を殲滅するッ!!」
ま、単なるアホの所業です。
・・・と、ここまでは前振り。
★ウケたのは馬頭星雲の写真ではなく・・・
本当に『一斉砲撃』に成功したのか?という疑問については、twitterでリザルト実況したので、そちらをご覧いただくとして・・・
意外にも反響が大きかったのが、展開した様子を写したスナップ(いわゆる『機材ポトレ』)における照明具合でした。
特にHIROPONさんは、展開の様子に素敵な題字を入れて宿屋のパンフ風に加工してくれました。
また、「間接照明を使っている」「雑コラに見えて、実は本物」「上方向からのライティングを工夫してる」などなど、鋭い視点でのコメントを多数いただきました。
ただし、実は照明に関しては『映える』というよりも「怪我防止」の視点から長年模索してきた結果に過ぎません・・・というわけで、ここからが本題です。
★目に優しく、安全な照明とは?
※初めにお断りしておくと、あくまで自宅のお庭で自分1人が天体撮影する場合に特化した方法ですので、遠征地で可能かどうかは別問題です。
さて、ここ数年来色んな部位を大けがして入退院を繰り返してきた身としては、とにかく色んな機材が乱立し多数のケーブルが地面を這い回っている状況で怖いのが足を取られての転倒事故です。そのため、撮影時の迷光防止よりも安全確保が最優先なのですね。ただし、ある程度は迷光を誘発しにくく目にも優しい照明がうれしいので、色々と試行錯誤を重ねた結果、辿り着いたのが「弱い電球色LEDの活用」と「間接照明による下方照明」です。

これが、今回の『ひとり星まつり』で使用した主な照明器具です。
<照明兵器①>「電球色LED」
パナソニックのLEDランタンです。とにかく
ポイントは「非常に暗い」ことで、二段階のうち「弱」にすれば直接目に光が入っても刺激が少ない優しい光が得られます。しかも超省エネで
単三アルカリ電池3本でなんと1000時間も持ちますので、普段は屋内の常夜灯として活用しています。また完全防水(密閉構造)ではないためエネループなどのニッケル水素電池も使用可能です。私はカメラ用などでガンガン使ってややへたってきたエネループをこのLEDランタン用に回して活用しています。
そこそこお値段はしますが、超高性能なエボルタ単三電池がついてこの価格は良心的だと思います。(オーム電気からほぼフルコピーの格安品が出ていましたが、最近は見かけませんし、そもそも故障率が高かったです。)ちなみに、使うときは『電球』の頭をぺちっと押すと「弱点灯」し、もう一度押すと「強点灯」。さらに押すと「消灯」します。
いきなり「強」で点灯せず「弱」から始まるところは、まさに天文用に好適だと思います。また、台座から抜くと臨時の懐中電灯としても使えます(ストラップホールもあります)。
『ひとり星まつり』では、足を取られやすいピラーや三脚の足下を照明したり、テーブルの下に置いてケーブルを視認しやすくする用途で活躍しました。
<照明兵器②>「充電式多機能LEDランタン」
BICOSYの多機能LEDランタンです。
10400mAhのリチウム電池内蔵で、色や明るさなどを様々に変えることができるコンパクトな多機能ランタンです。電球色で最も弱くした場合でも先述のパナのLEDランタンよりも明るいですが、連続点灯で400時間もつのは便利なので、観測時はもちろん、電源が取れない機材物置小屋内部の照明としても活躍しています。つり下げ金具と底部マグネットを利用すれば、壁にくっつけたり、物干しざおに吊したりできます。
ちなみに、一見天文用によさげな赤色光にもできるのですが、個人的にはなんというか「目に突き刺さる」ような嫌な赤に感じるので、電球色で運用しています。
今回の『ひとり星まつり』では、倉庫の壁にくっつけたり物干し竿に吊したりして広範囲を淡く照らす用途と・・・

テーブル下のフックに掛けて、光が直接目に入ることなく足下を十分な明るさで照らす用途に大活躍しました。

設定はメモリーされているので、
電源を切った後で再点灯した際にはちゃんと直前の設定で光ってくれるのは天文用としてポイント高いと思います。なお、充電はUSB-C端子から行います。また非常時にはモバイルバッテリーとしても使えます。
<照明兵器③>「くねくねLED」
Twitterで「どこから照らしているのだ?」と謎を呼んだ白い光の主が、コレです。
個人的に『くねくね』と呼んでいますが、USB電源に差し込むフレキシブルなLEDライトです。

これを、モバイルバッテリーなどに差し込んで、くねっと曲げます。

そして、これを
テーブルの縁を挟み込むように配備すると、発光面が上を向いてテーブルの裏面を照らし、良い感じの間接照明に変身します。

このライトはかなり明るいので、地面といえども直接照らしてしまうと明るすぎてジャマです。苦肉の策としてテーブルの裏面を照らすようにすると良い感じになりました。フックがなく前述のランタンをつるせないテーブル用に良いと思います。

え?「どこで買えるのだ」ですか?
ええと・・・これ、実はタダなんです。
冷却CMOSカメラや赤道儀など12Vの直流電源を必要とする機材が多いので、あぷらなーとが10個も買って愛用しているお気に入りACーDCアダプタがあります。


なんと『くねくねLED』は、この電源アダプタ(12V3A)のオマケとして付いてきた物です。だから10本も持ってます(笑)
残念なことに、アマゾンのリンクが無効になっているのと、後継機(?)のレビューを見る限り「電源にノイズが乗る」「つないだらPCが壊れた」などの報告もあるので、詳細は割愛します。後継機にオマケがついているのかどうかも不明ですし。
★というわけで
お庭撮影では、自分とカメラさえ良ければOKなので、周囲の観測者に気兼ねすることなく安全な照明を楽しめる、というお話でした。皆さんも、ぜひ色々と工夫して安全かつ『映える』観測にチャレンジしてみてくださいね♪
★★★お約束★★★
①使用感は、あくまでも個人の感想です
②天文用光源の適否については(明るさや色などについて)諸説あります
③パナのLEDランタンは8個・BICOSYのLEDランタンは6個・BOLWEDのアダプタは10個試して、今のところ個体差は感じていませんが、最新の製品ロットや後継機種の性能がどうなのかは不明です
★★★『長い』追記★★★
本記事をアップした後、多数のアクセスをいただいたのですが、BICOSYのLEDランタンが「品切れ・再入荷予定無しのため代替品へのリンクを推奨する」とのメッセージをアマゾンさんからいただいたので、代替品(後継機?)を探してみました。バッテリー容量が10,400mAhから8,400mAhになったこと、色設定の中からいわゆるレインボーカラー(連続的に色が七色に変わるお遊びモード)が割愛された点以外は同等のように見えましたので、テスト用に下記をポチってみました。今なら500円OFFクーポンが使えるようですし・・・。
さて、ポチった翌日、もう後継機が届きました♪
では、早速、レビューしてみましょう。
<外観>
大きな違いがひとつ。従来品の真ん中に目ん玉のように配置されていた直射ライトが無くなって、全面が拡散光源に変わっていました。

※左:従来品 右:新型
天体用途には直射ライトは特に必要ではないのですが、(リング状の)平らな部分が無くなったため、逆置きした場合の『座り』は少し悪くなりました。
フック吊り下げ具や底部マグネットが装備されている点は同じです。
<操作面>最初、『レインボーカラー』は割愛、と思っていたのですが、しっかり残っていました。七色に変わる怪しいイルミネーションを楽しみたい方はどうぞ(笑)
ちなみに、直射ライトがなくなったこと以外の機能面は同等なのですが、ボタンの配置が変わっていました。
<バッテリー容量>表記を見る限り、内蔵リチウムイオンバッテリーの容量は従来型の10,400mAhに対して新型は8,400mAhとなったようです。
<ズバリ、おすすめ度は?>
従来品よりも「良い」です。
その最大の理由は、最小光量にあります。元々一般的なLEDランタンよりもかなり暗めの光量にでき、しかもその設定をメモリーできる点がお気に入りポイントだったのですが、新型機は、なんと「さらに暗く」できるのです。邪推すると、バッテリー容量が減った分を光量減でカバーして最大点灯時間を延ばしたとも考えられるのですが、天文用途としては「そこが良い」です。

ご覧のように、なんと、(個人的にベストアイテムと考えていた)
パナの電球型LEDランタンの「弱」と似た程度にまで暗くなります!!これなら間接照明用途ではなく普通に使っても目が眩む心配が無さそうです。
ああ・・・旧型機を6匹もポチったのは、早まったか(笑)
という訳で、後継機もオススメできます♪