機材レビュー

PlayerOne Poseidon-C Pro インプレッション③

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★セカンドライトは『本命』の鏡筒で♪
さて、PlayerOneの新鋭冷却CMOSカメラPoseidon-C Proについては、インプレッション①で基本的な性能チェックを

そして、インプレッション②で12cmアクロマートを用いたファーストライトの様子を

それぞれレビューしました。
でも、「本来の目的」は、主砲VMC260Lと組み合わせた星雲撮影用途だったんですよねぇ。
・・・というわけで、VMC260L+純正レデューサ(イメージサークルはAPS-Cまで)+QBPⅢにPoseidon-C Proを加えたセットアップを準備。
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セカンドライトの対象は、まず創造の柱で有名なM16わし星雲です。
0℃まで冷却したPoseidon-C Proをゲイン300・オフセット100の30秒露光で100コマ試写してみます。
ダークもフラットも補正していない素のライトフレームを100コマコンポジットしてみると・・・
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おおお!なかなか良い感じではないですか!
特筆すべきは、とにかくホットピクセルが少ないことで、この程度で良ければダーク減算をサボっても良さそうです。
たしかVMC260L+APS-CセンサーでM16を撮影したのは2015年以来のことですが、前回D5000+LPS-P2で撮ったもの(ISO3200・30秒露光×88コマ・ダーク減算あり)↓とは雲泥の差です♪
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★『鬼門』と対峙するときがやってきた!!
誰しも「苦手な天体」というものがあるとは思うのですが、あぷらなーとにとって『鬼門』とも言うべき対象としては、NGC7293らせん星雲が上げられます。
とても大きくてメジャーな星雲でありながらも南天の低い位置にあり、しかも等級の割には単位面積(正確には立体角)あたりの輝度が低くて、市街地からだと光害の影響をモロに受けてしまい撃沈します。お恥ずかしながら自己ベストの像は、VMC260L+純正レデューサ+天体改造D5000で撮影したコレ↓ですが、それはもう「らせん星雲の作例」というよりはむしろ『縮緬ノイズの作例』とでも言うべき惨状です。
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※VMC260L+レデューサVMC+LPS-P2+改造D5000 ISO3200・20秒露光×195コマコンポジット ダーク減算あり

まあ、この惨敗を契機にして『縮緬ノイズ』(私の造語です)の謎を探る旅に出たので大変思い出深い作品ではありますが、正直なところ「らせん星雲なんて、二度と撮ってやるもんか」すっかり大嫌いになりました。

しかし、現在のあぷらなーとには「新兵器Poseidon-C Pro」に加えて「必殺のQBPⅢフィルタ」があります。というわけでリベンジをしてみることに。
ちなみに、Poseidon-C_ProのADCは16bit仕様です。したがって、露光を増やしてもゲインを上げてもなかなかサチりません。むしろ、露光量不足にともない高輝度レンジが無駄に捨てられてしまうのがもったいないことと、暗い天体の量子化ノイズが増大するリスクがあるため、ゲインを(仕様上の最大値である)550に上げてチャレンジしてみます。

まずは、ダーク・フラットなしの1コマ画像を『味見』してみましょう。
すると・・・

ででん!
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おお、海皇神ポセイドンさま、すげぇ!!
もちろん、総露光時間が少ない分だけ光子ショットノイズは大きいのですが、今回の方が見栄えがします。


★思わぬ伏兵?
『味見』に気をよくしたあぷらなーとは、先述の設定でらせん星雲をどんどん撮り増ししていきました。そして、ダーク・フラット・フラットダークも用意して「本処理」に取りかかります。果たして、30秒露光×63コマのコンポジットでリベンジは成功するでしょうか?

でで・・・ん?!
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※VMC260L+レデューサVMC+QBPⅢ+Poseidon-C Pro 0℃・Offset100・Gain550・30秒露光×63コマコンポジット ダーク・フラット・フラットダークあり

予想以上に、良く写ってるのだけれど・・・
「なんなのだ、この盛大な縦縞ノイズはッ!!」
ダーク減算もフラット除算も施したのに、縞ノイズ(あぷらなーとが言う縞ノイズとは、縮緬ノイズではなくバンディングノイズのこと)が出る、だと?

ここに来て、まさかのリベンジ失敗です。


★いや、ちょっとまて
しかし、奇妙です。冒頭のM16では縦縞ノイズなんて皆無でした。らせん星雲が暗くて強めの炙り出しをしたからといっても、ここまでの差は解せません。
インプレッション②でも少し触れたように、Poseidon-C Proはゲインによって出るノイズが変化する気配があります。たとえば、下記のように暗い対象だと、ゲインを下げすぎると橫縞ノイズが出ますが、露出を変えずにゲインだけを上げることでこのノイズは消滅します。
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※左から順に、ゲイン0・ゲイン180・ゲイン550

ひょっとすると、ゲインを上げすぎると「橫縞ノイズが消える反面、縦縞ノイズが現れる」のではないか?
そこで、ノイズが出なかったM16に対して、同条件でゲインを550まで上げて比較撮影してみました。
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※上:ゲイン550 下:ゲイン300 共通データ:0℃・Offset100・30秒露光×32コマ ダーク・フラット無し
ビンゴ!!
やはり、最大ゲインである550は縦縞ノイズが盛大に出る弱点を持ってるんだ!

ここで、問題は「いったいいくらのゲインで縦縞ノイズが出てしまうのか?」ということ。
試行錯誤の結果、ライトフレームと同様にフラットフレームにも高ゲイン時の縦縞ノイズは記録されており、ランダムノイズではなく固定ノイズ的な振る舞いをすることは確かめられました。このあたりは、グローバルシャッター機とは大きく異なる点です。要するに「縦縞ノイズは固定ノイズだが、あまりに強烈なので、簡易的なLEDトレース台によるフラット補正では十分に補正できない」可能性が浮上してきました。つまり、あまりにも強烈な周辺減光や大きなゴミや日の丸ゴーストがあるとフラット補正が失敗するのと似たケースではないか?と考えました。


★安全なゲインはいくらまでか?
ここまでの試行錯誤で、どうやら「フラットフレーム上に縞ノイズが認められるようなゲインは避けた方が安全」という気配がしてきましたので、輝度ヒストグラムのピークが全階調の約50%に位置するような条件を維持しつつゲインを25刻みで変化させ、フラットフレームを色々取得してみました。テスト撮影にはLEDトレース台をフル発光で使用し、減光用にマルミのND100000を併用しました。
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すると・・・

ででん!!
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ああ、分かりました。どうもPoseidon-C Proの『縦縞ノイズ問題』は、最高ゲインのみに見られる特殊現象のようです。
すでに天体実写で無問題だったゲイン300はもちろんのこと、ゲイン400やゲイン500でも運用可能な気配がしますが、その領域での実写は今後の課題とさせてください。


★安全なゲインで、リベンジ続行
さて、ゲイン550で撃沈したNGC7293らせん星雲ですが、あまりに悔しいので、後日『確実に安全』なゲイン300を用いてリベンジを続行することにしました。
VMC260Lは主鏡移動式の合焦機構を持つので、通常のオートガイドではミラーシフトの影響で追尾エラーが出ます。ただし60秒程度ならミラーシフトの影響が軽微であることは確かめているので「ゲイン300・60秒露光」でらせん星雲に再チャレンジしてみました。

すると・・・
ででん!!
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やったー!!
ついに、ついにらせん星雲をやっつけたぞ♪
ああ、海皇神ポセイドンさま、超すげぇ!!


★★★お約束★★★
①縦縞ノイズ(バンディングノイズ)の発生有無の判定は、あぷらなーとの主観ですので、あまり信用しないでください。
②ライトフレームと同等の露光時間でフラットフレームを取得した場合、白色の無限遠光源を用いてフラットフレームを取得した場合、などでは最高ゲインでの縦縞ノイズが消せる「かも」しれません。
③周辺減光の補正を犠牲にしてフラットフレームのコントラストを上げることで、縦縞ノイズを軽減できることを確認しましたが、まだ試行錯誤中です。
④ミラーシフトの影響回避にはオフアキシスガイダーが有用と思われますが、VMC260Lで運用した経験はありません。
⑤諸々の状況から考えて、同じセンサーでもZWOのカメラとPlayerOneのカメラとでは、同じゲインでも実際のゲインが異なる気配を感じます。
⑥「橫シマ」と「縦シマ」の両方がゲインによって出てくるのは不気味すぎると感じられるかもしれませんが、そもそもバイアスフレームには縦横両方のバンディングノイズが観察されますのであり得ない話ではありません。
※下記はゲイン0で撮像したバイアスフレームを16コマコンポジットしたものです。
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⑦レンズや望遠鏡無しの状態でフラットを撮影してもハッキリとした周辺減光が写っていますが、この件に関しては、下記で考察ごっこしています。



Commented by マットレスランキング at 2023-09-28 16:21 x
素敵です
Commented at 2024-01-22 00:07 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by supernova1987a at 2024-01-23 22:31
> seさん
はじめまして。拙ブログにお越しいただきありがとうございます!大変ありがたいお誘いなのですが、万が一破損させた場合が怖い点と、不具合を見つけた際に直接メーカーさんにご報告や改善要望を提出し辛い点から、自前の機材もしくはメーカーさんから直接依頼されたテスト案件以外は、原則としてご遠慮させていただいております。何卒ご理解ください。
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by supernova1987a | 2023-08-27 13:37 | 機材レビュー | Comments(3)

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