★恐怖の『サッポロポテト現象』について
その結果、
たとえば、これはBORG45ED+SVBONY7nmOⅢナローバンドフィルタ+PlayerOne Xena-Mで人工星を観察した場合の焦点内像の様子ですが、ノートリミング画像全体が奇っ怪な像に攻撃されて大惨事!!(笑)。これをよく観察してみると、バラエティに富んだ色んな敵が居そうな気配が感じられますので、今回は下記のように5つの種別に分類して、検証ごっこを進めてみることに。
これにより、フィルターの反射面起因の現象を特定してやろうという目論見です。
特にナローバンド撮影をしている時、明るい恒星が写野に入った場合に規則正しく格子点状に整列した「奇妙なゴースト状の何か」については、デジカメ界隈でいうところの『サッポロポテト現象』(正確にはマイクロレンズフレア)であるとの推測の元、前回色々と検証ごっこしてみました。
その結果、
①『サッポロポテト現象』は、センサーがベイヤー配列だろうとクアッドベイヤー配列だろうと発現する。
②カラーフィルタの配列を無視したピクセルピッチを考慮すると、反射型回折格子の基本公式から回折像の位置(伸び方)は説明できそう。
③最低でも2面の反射面が現象に寄与していることが示唆されたため、この反射面がどこかによっても像の出方や位置は変わる気配。
④ピクセルピッチが広いほど回折像が圧縮されて濃厚な像になる気配。
⑤ピクセルピッチが狭いほど回折像が引き延ばされて長いが淡い像になる気配。
⑥現象が出にくい機種は、反射面(センサー上のカバーガラスとカメラ本体のカバーガラス?)に反射防止策が施されている可能性がある。
⑦カラーカメラはモノクロカメラと比べて回折像が出にくい(淡い)ようだ。
⑧手持ちのカメラではIR/UVカットフィルタの有無による大きな差異は見られなかった。
あたりが分かったのですが、今回は、もう少しだけ詳細に踏み込んでみます♪
★第1群に合焦させた場合にフィルター位置を変化させると?
今回の検証ごっこで試用する人工星装置は前回と同じものですが、撮影装置は若干の変更を加えてフィルターの取り付け位置を3パターンに変えられるようにしてみました。
まずは、回折像のうち最も顕著に出る『第1群』に合焦させた場合について、フィルター位置を変えると何が起こるのか観察してみましょう。
すると・・・
ででん!!
※ノートリミングですが、比較しやすいように縦位置に回転させています。
おお、早くもこれで結論は出たようなものですなぁ。
①フィルタ位置を変えても第1群・第2群は変化しない
②フィルタ装着位置をカメラ先端以外に変えると第3群が消失する
③通常のゴーストはフィルタ装着位置を変えると位置も大きさも変わるが、適切な位置(今回はフィルタドロワー内)に配置すると消失する
要するに、通常のゴーストと回折像第3群についてはフィルタの反射面が大きく寄与していることが示唆されました。
★回折像第3群に合焦させ、その挙動を探ると?
さて、サッポロポテト現象で見られる回折像は、平行光(無限遠光)で生じた普通の回折像ではなく対物レンズによって収束光に変えられたものがさらに回折したものと考えられます。したがって、回折像でありながらも『明瞭な合焦位置』というものがあります。当然、この合焦位置に近づくほど像が明瞭になることになりますので、回折像第3群の合焦位置についてもう少し詳しく検証ごっこを進めてみましょう。
前述のように、回折像第3群の生成にはフィルター面の反射が大きく寄与している気配が感じられました。もし本当にそうなのならOⅢフィルタを対物レンズ前に装着した状態でも、カメラ先端になんらかのフィルタが付いたままだと第3群が発現するはずです。
では、次の3パターンで検証ごっこ開始です♪
①カメラ先端にOⅢフィルタ
②対物レンズの前にOⅢフィルタ
③カメラ先端にIR/UVcutフィルタ+対物レンズの前にOⅢフィルタ
さて、どうなりますか・・・・
ででん!!
※ノートリミングですが、比較しやすいように縦位置に回転させています。
ここで分かったことは、
①カメラ先端にOⅢフィルタを装着すると回折像第3群が鮮明に発現する
②OⅢフィルタを対物レンズ前に移動させると第3群は消失する
③OⅢフィルタが対物レンズ前でも、カメラにIR/UVcutフィルタを装着していると第3群が復活する
ただし、その強度は①に比べるとかなり淡い。
ということですね。つまり、これで回折像第3群が生じる主要因は「カメラ先端に平行反射面」があることだと結論づけられそうです。
IR/UVカットフィルタは(鏡のようにピカピカな)OⅢナローバンドフィルタに比べるとはるかに反射は少ないのですが、もしも回折像第3群が出て困る場合には取り外すか、センサーから十分な位置まで離すのが良さそうです。
★サッポロポテト現象のメカニズム想像
センサーやカメラの構造(カバーガラスの厚みや間隔など)が全く不明なため妄想レベルでしかないのですが、今回の検証ごっこにより下記のようなメカニズムなのではないかと感じました。
したがって、サッポロポテト現象を軽減するには
①センサーのピクセル構造の工夫(ピクセル毎の高さや位置を微妙に変えて回折を乱す)
②センサー上のカバーガラスに反射防止策を施す
③カメラ内のカバーガラスに反射防止策を施す
④フィルタに反射防止策を施す
⑤フィルタを極力センサーから離す
⑥ピクセルピッチをできるだけ大きくして恒星像の内部に回折像をたたみ込んでしまう。
⑦ピクセルピッチをできるだけ狭くして回折像を散らして薄めてしまう。
あたりが有効なのかな?
このうち、①⑥⑦は全ての群の回折像に有効、②は第1群のみに有効、③は第2群のみに有効、④⑤は第3群のみに有効 と想像しました。
★お約束★
○あぷらなーとは、幾何光学および波動光学の素人のため、多数の勘違いが含まれる可能性があります。
○今回の結果にはヒューマンエラー(データ記録ミスやフィルタの交換ミスなど)が含まれている可能性があります。
○今回の検証ごっこには、レデューサやフラットナなどいわゆる補正レンズを用いていません。これらが含まれる光学系の場合は新たな反射面(しかも曲面!)が加わることになるため、著しく複雑な結果になりそうな予感がします。
○平行光ではなく収束光を回折させるという性質上、計算は複雑になると思いますので、定量的な推測はまだ無理です。今後の楽しみに取っておきたいと思います。
○今回の結果は、あくまでも個人の感想(妄想)レベルですので、メーカーさんへのお問い合わせはご遠慮ください。
by supernova1987a
| 2024-01-14 15:33
| 解析ごっこ・検証ごっこ
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