機材レビュー

HAC125レビュー①

★尖った鏡筒のレビューオファーが!
あぷらなーと と言えば、「アクロマート+ナローバンド」とか「アクロマート多連装」とかが持ちネタで、とにかく格安屈折望遠鏡が好物というキャラ設定なのですが、このたびサイトロンジャパンさんから『とんでもない鏡筒』のレビューオファーがありました。CP+2024会場でも異彩を放っていた口径125mmF2という超絶明るいアストログラフSkyWatcherのHAC125がついに登場です。
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事前の予習で小サイズセンサー専用機であることは知っていたのですが、幸い愛用のXena-Mが適合カメラだったため、レビューを受けることにしました。正体不明の上に全く『専門外』カテゴリーに位置するこの鏡筒、果たして無事にレビューできるのでしょうか?


★最初に「重要なご注意」
はじめに『尖った』と表現しましたが、HAC125は万人向けの望遠鏡ではありません
ここを勘違いすると大変なことになりますので、以下、重要な注意を記しておきます。

①天体望遠鏡ではなく、アストログラフ
ベテラン勢には言うまでも無いのですが、この鏡筒は『目で覗けません』。あくまでも撮影専用機です。

②装着できるカメラには厳しい制限がある
本体の構造上、装着できるカメラの寸法には下記の制限があります。
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※シュミットさんのHPより引用

このうち最重要ポイントは、センサーが1.25inchスリーブの先端付近にあることです。
要するに、接眼部の先端よりも内側に合焦面があるため、カメラのセンサーを接眼部の内部に9.7mm以上潜り込ませないとピントが合いません。

結論から言うと、いわゆる『スティック糊タイプ』のカメラである必要があります。
具体的には、シュミットさんのHPに適合カメラリストが明記されていますので、手持ちのカメラが該当するのかどうか確認するのが安心でしょう。
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※シュミットさんのHPより引用

★『尖った』筒の使命は?
では、このようにカメラを選ぶHAC125は、どのような使命(購入意義)があるのでしょうか。ここで素人なりの意見を述べておきたいと思います。
結論から先に言うと、「小サイズセンサーのカメラで大センサー搭載カメラをやっつける」ための筒だと解釈しています。

諸説ありますが、センサーのピクセルピッチがどうであれ、「同じ対象」を「同じ構図」で「同じ露光時間」で撮影する場合、鑑賞画面全体に(点描画のように)像を描く光子の総数がノイズ低減に最も効いてきます。この光子をかき集めているのは対物レンズなので口径のみが効いてきます。そのため(理論上は)下記の組み合わせで同等の品質の絵が撮れます。
 ①フルサイズセンサー+300mmF4
 ②APS-Cセンサー+197mmF2.6
 ③4/3センサー+151mmF2
 ④1型センサー+110mmF1.5
ここで重要なのは①~④すべての口径が75mmになっていることで、よく言われる
「4/3+150mmF4はフルサイズ+300mmF4と同じ絵が撮れるがノイジーだ」
は、そもそもその口径が違っているので、ノイズ云々以前に入射した光子が少なすぎる不公平な比較なのです。
では、これを天体望遠鏡に置き換えてみましょう

フルサイズのカメラに口径125mmF6.46の望遠鏡を装着して撮影した星雲画像と同等(に滑らか)な星雲画像を得るには
 APS-Cセンサーなら口径125mmF4.24
 4/3センサーなら口径125mmF3.24
 1型センサーなら口径125mmF2.38
というスペックの望遠鏡が、それぞれ必要となります。

では、このケースでは1/1.2型センサー搭載カメラであるXena-Mに、どのようなスペックの望遠鏡が必要となるのでしょうか?
実は、これを計算すると口径125mmF2.0となり、これがまさにHAC125のスペックとなります。(強引だなぁ・・・)

要するに、フルサイズのモノクロセンサーカメラに口径125mmF6.46望遠鏡を用いた場合と同等の滑らかさの星雲画像がHAC125で可能となるのではないか、と目論んだわけです。

★開封の儀
では、はやる心を抑えつつ、早速レビュー機を開封してみます。
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届いたものは、下記の通りです。
 ①HAC125本体
 ②専用フード(取りつけ済み)
 ③専用鏡筒バンド(取りつけ済み)
 ④アリ型プレート(取りつけ済み)
 ⑤同焦点リング(カメラ用のストッパーで、差し込み過多を防ぐリング)
 ⑥簡易説明書(中国語表記のみ)
シンプルですね。
ちなみにファインダー台座は贅沢にも2つついていますので、1つはファインダー、もう1つにはガイド鏡を装着することを想定しているのかもしれませんし、一度カメラを取りつけてしまうと、構造上カメラを回転させて構図を決めるのが不可能に近いので鏡筒自体を回転させることを想定(ファインダーの位置が変になった場合に載せ替え?)しているのかもしれません。

本体が組み上がった状態で納品されているので、あとは適当な架台にポンと載せるだけというお気軽さです。たとえば、電視観望を想定して自動導入経緯台AZ-GTiに載せてみると、こんな感じです。
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★カメラの装着
では、さっそくカメラを装着してみましょう
前述のように、カメラを奥深く差し込み過ぎるとピントが合わなくなるばかりか、内部の補正レンズに干渉する恐れがありますので、専用のストッパーリングが付属しています。たとえば、Xena-Mならこんな感じでリングを装着した上で接眼部に装填します
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※かなり安全な位置にしています。公称ではフィルタの先端を含めて39.7mmまで差し込み可能とされています。

さて、納品時には本体に装着されていた専用フードですが、カメラを装着するためにはこれを一度取り外す必要があります。むき出しになった接眼部にカメラを差し込むと、こんな感じです。
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★ピント合わせ
ピント合わせもフードを外した状態で行います。
カメラとPCを接続ケーブルでつなぎ、接眼部の直進ヘリコイドを手で回しながらプレビュー画面を観察してピントを合わせます
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ちなみに、ヘリコイドの操作性は予想したよりも好感触でした。個体差かもしれませんが、変なバックラッシュも感じられず快適にピント合わせができました。人によっては少々回転が重いと感じるかもしれませんが、緩すぎて勝手にピントがズレるよりは良いでしょう。

では、ここで一度ケーブルを外して、フードを装着します
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※ここでケーブルを抜き差しするのが嫌な場合は、外したフードにケーブルをくぐらせてカメラに接続しておくと良いかもしれません。

※開口部を渡るケーブルによって不愉快な回折像が生じた場合は、適宜スパイダーマスク状のパーツを自作すると良いかもしれません。

★とりあえず昼間の風景を試写
レビュー記事を書く前には、とりあえず最低限のチェックをして致命的な不具合があれば返品交換を求めるように心がけているのですが、今回は『初物』なのでドキドキです。天気が悪く天体実写ができないので、とりあえず昼間の無限遠方を試写して不具合が無いか確認してみましょう。なお、小雨が降る悪条件でコントラストが悪かったため、Xena-Mには7nmのHαナローバンドフィルタを併用しています。
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上記は、それぞれ無限遠方を試写したノートリミング画像3コマの様子です。
点光源ではないため、天体試写のように直接中心像や周辺像をチェックすることはできませんが、このようにフレーミングを変えることで簡易的なチェックは可能です。
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上記はピクセル300%に拡大した画像です。左から順に、左下配置・中央配置・右上配置です。強いて言えば、周辺像が若干眠いですが、許容範囲でしょう。像の流れは認められませんので、納品時の段階である程度光軸は合っていると判断しても良いでしょう。


★ダメなことをやるとどうなるの?
冒頭でお話したように、この鏡筒には適合するカメラに厳しい寸法制限があります。では、これを無視して悪いことをするとどうなるのか、試してみましょう(笑)
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はい、完全にアウトな装着例です。適合しない機種であるPlayerOneのUranus-Cを接眼部に装着するとこんな感じになりますが・・・。
①ピントが合う再遠距離が約2.5mとなりました
②設計値と大幅に異なるセンサー配置のために、合焦距離であってもボケボケの像になりました。
③ケーブルが横から生えるカメラのためコネクタが干渉してフードが装着不能になりました。
ひょっとすると超明るい望遠マクロになるかとも期待したのですが、ダメですね(笑) 

ちなみに接眼部のヘリコイドは脱着可能なので、手持ちの薄いヘリコイドに換装してはどうか、とか、バーローレンズで合焦位置を後ろにシフトさせればどうか、など色々と悪知恵を働かせてみたのですが、全て失敗に終わりました。
やはり、メーカー推奨の組み合わせで使うのが大切ということですね♪


今回は、ここまで♪
晴天に恵まれたら天体実写レポするので、お楽しみに!!



★★★お約束★★★
①本レビューは、サイトロンジャパンさんのご厚意でお貸しいただいたレビュー用個体を試用した個人的な感想です。

②「F値よりも、ピクセルピッチよりも、口径が・・・」云々は、定量的にノイズ解析ごっこをする際の姿勢であって、普段の会話では私自身が「すげー、フルサイズだ!」「ピクセルピッチ9μm、でかーい!!」などと盛り上がっていますので、野暮なことは言いません。

③同じ口径の望遠鏡に適宜補正レンズを加えることで、異なるフォーマットのカメラでも似たような絵が撮れることは、下記の記事で検証しています。
④X上で複数の方がご指摘されたように、F2という極端に小さなF値ですので、半値幅の狭いナローバンドフィルタでは不具合が起こる可能性があります。

⑤HAC125の実写テストは天候が回復してから行います。それまでは、この製品の良し悪しには言及できません。

⑥正確な情報は、下記シュミットさんの商品ページをご参照ください




Commented by まるみ at 2024-09-26 00:04
手持ちのQHY5iii462Cが使えそうなので、とても気になる機材です。
実写レビュー期待しています!!
焦点距離が近い EVOGUIDE 50ED と比べると、やはり圧倒的な違いとなるのか、
センサーが小さいので1.25インチ0.75倍レデューサで画質を落とさずに画角を少しでも広げられないか、とか
衝動的にポチりそうになったけど、一旦冷静になって様子をみることにしました。
Commented by supernova1987a at 2024-09-26 18:36
> まるみさん
おお、QHYのスティック型CMOSカメラをお持ちなのですね!いずれ「口径を揃えた時」「焦点距離を揃えたとき」「F値を揃えた時」の3パターンでの実写比較テストを決行したいと企んでいますので、お待ちください♪
Commented by うこん at 2024-10-02 23:55
レビューありがとうございます。この鏡筒には興味があったのですが、光害のひどい環境では使えないと判断して買いませんでしたが、いろいろ疑問が思い浮かびます...
実写レポートが楽しみです!

浮かんだ疑問:
F2ですと光害対策の干渉フィルターが使えないと思うのですが、光害のある場所では実用になるのか?
被写体深度が浅いのでカメラ側の光軸周りの工作精度が低いと周辺のピントがずれそうですが、センサーの
サイズが小さいので影響は少ない?
温度変化による鏡筒の長さの伸び縮みの影響は?
技術的にいろいろ課題があると思うので、よく製品化したなと感心しました。
Commented by supernova1987a at 2024-10-03 01:23
> うこんさん
コメントありがとうございます。
〈お約束〉に書いたナローバンド適性についてですが、まだ未確認です。一応下記テストで、80mmF2のカメラ用レンズにバンド幅12nm仕様のHαナローバンドフィルターを用いて好結果を得ているので、今回も12nm幅の物でテスト予定です。
https://apranat.exblog.jp/32471585/

その他諸々の不安材料に関しては、星雲実写してみないとなんとも言えませんので、晴天をお待ちください♪


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by supernova1987a | 2024-09-23 22:19 | 機材レビュー | Comments(4)

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