★酸っぱいブドウ
ああ、今は天文機材の『案件』レビューで忙しいからね。
え、紫金山アトラス彗星?
なにそれ、おいしいの?
・・・って
大ウソに決まってるじゃないですか!
あぷらなーとは機材マニアじゃなくて天文ファンなんですから。
・・・というわけで、ちょっぴり時間が取れたので、紫金山アトラス彗星とやらを撮りに行くことにしました。
★時間が無い
実は、この日は休日だったもの、所用を済ませて帰宅したのは16:30頃。
移動時間や諸々を考えると、準備時間はせいぜい30分程度しかありません(コウイウノハ ハヤメニ ジュンビ シテオケ)。
まずはレンズですが、紫金山アトラス彗星は明け方の空から夕空に回ってきたばかりで、いったいどんな姿になるのか見当がつきません。
また、夜の内に極軸合わせができる明け方と異なり、夕方の撮影では極軸合わせが(ほぼ)不能です。そこで、普通の三脚に望遠レンズを載せ、短時間露光の固定撮影を行うことに決めました。尾っぽが伸びるかどうかは全く不明だったので、とりあえず85mmレンズを主軸にしつつ、緊急用(良くも悪しくも)に備えて望遠ズームを持っていくことにしました。というわけで、準備したのはニコンの85mmF1.4×1本と85mmF1.8×2本、それに70-200mmF2.8ズーム1本です。
用意したのは、ニコンのD810A、D810、D610です。
細かい組み合わせは、現地に着いてから考えることにしましょう。
★肝心なところに雲がー!
さて、今回撮影地に選んだのは、ほぼ水平線が見える海岸沿いの公園です。ちなみに、地元では夕日を見るスポットとして有名です。
到着してみると駐車場はほぼ満車、かなりの人出です。
晴れてはいるのですが、なんと西の空の『肝心なところ』にばかり雲がウジャウジャ居座っていて、彗星をディフェンスする構え。
こりゃ撃沈かな・・・と不安が募ります。
★作戦変更
こうなると、当初目論んでいた「フルサイズ+85mmの3連で短時間露光して、後から合体!」という邪悪な手法を試している場合ではありません。
とりあえず「存在確認成功」を最優先目標として、作戦を変更します。
カメラはD810Aのみに集中する & レンズは不測の事態に備えて70-200mmF2.8ズーム1本に絞る
これは、彗星を手抜き撮影する時にしばしばやる方法なのですが、
①望遠レンズの最望遠側で月や金星を用いてマニュアルフォーカスでピント合わせして固定
②それらしき方向を望遠ズームの広角側でとにかく撮影
③画像を拡大再生して、彗星がどこかに写っていないかを探す
④彗星を見つけたら画面中心になるよう構図変更
⑤望遠側にズームアップして試し撮り
⑥構図変更
という作業を行うことで、雲の切れ間に現れた彗星をゲットしようという企みです。
★こ、これはッ!
さて、しばらく広角側で撮影&拡大再生を繰り返している時に、なにやら怪しいコマが撮れました。
※D810A+70-200mmF2.8(70mm域) 2.5秒露光
あ! い、いるッ!!
雲の切れ間と日周運動の方向を考慮して、下記のような構図で撮影することを決めました。
そして、待つこと数分
すると・・・
ででん!!
すげー!!
ふと、カメラから目を離して西空を凝視してみると、なんと肉眼でも明瞭に尾っぽが見えるではないですか!
これ、紛う事なき大彗星ですよ!
★タイムラプス動画に仕上げてみる
今回の撮影地は瀬戸内海が見渡せる観光地ですので、海を航行するフェリーなどの灯が滑るように動いていくのが楽しめます。
せっかくですから、船と彗星がゆっくり動いている様子をタイムラプス動画に仕上げてみましょう。
D810Aで2.5秒露光した画像74コマをつないでみると・・・
ででん!
瀬戸の海と彗星!
情緒豊かな動画になりました♪
なお、連写しようとしたらまさかの「リモートコード忘れ」に気がついて、半泣きで知恵を絞り、D810A本体のインターバル撮影機能でピンチを切り抜けた、というのは内緒です(笑)。
★このレベルの大彗星になると工夫は要らないかも
さて、右往左往した撮影でしたが、個人的には大満足でした。
なお、これほど明瞭で明るい大彗星になると、もはや天体写真スキルは不要かもしれません。
さて、まだ紫金山アトラス彗星を撮影されていない方、普通のカメラと三脚を持って、ぜひ出かけてみてください♪
<ご参考>
最後に、今回撮影した詳細データを公開しておきますね♪
D810A+AF-S 70-200mm f/2.8G ED VR II(200mm域)
F2.8開放 ISO800 2.5秒露光 14bitRAW
WB:晴天
ピクチャーコントロール:フラット
イズリダクション・ADL:全てOFF
※インターバル3秒×74コマ 固定撮影
蛇足ながら、
ピントはライブビューで拡大してマニュアルで。
彗星本体ではピント判断不能なので、無限遠の風景か金星あたりで確認。
※VRを切るのを忘れずに。
※長時間露光ノイズリダクションが発動するとデッドタイムが生じてチャンスを逃すので、これもOFFに。
みなさまも、どうか素敵な彗星が写せますように!
大彗星だと、技術は要らないよって、大昔の天文雑誌であったらしいですが・・・
なるほどなぁ、と思った彗星は今回が初めてかもです。Hale-Boppのときは初心者でしたし・・
百武のときは就活でそんな余裕はなかったし(ついでにいえば出かけたけれど、刻すでに遅し・・・)
ライブビューでくっきり彗星が見えちゃうと否が応にも、テンションあがりますよね~
なるほどなぁ、と思った彗星は今回が初めてかもです。Hale-Boppのときは初心者でしたし・・
百武のときは就活でそんな余裕はなかったし(ついでにいえば出かけたけれど、刻すでに遅し・・・)
ライブビューでくっきり彗星が見えちゃうと否が応にも、テンションあがりますよね~
0
Commented
by
supernova1987a at 2024-10-14 22:11
> UTOさん
本当にそうですね。今回のように明るければ短時間露光で十分写るので赤道儀も要らないし、コンポジットする必要性も感じません。私はスマホの写真が苦手(そもそも廉価版のスマホしか使ってない)なので分かりませんが、スマホでも十分に写せたようですね♪
本当にそうですね。今回のように明るければ短時間露光で十分写るので赤道儀も要らないし、コンポジットする必要性も感じません。私はスマホの写真が苦手(そもそも廉価版のスマホしか使ってない)なので分かりませんが、スマホでも十分に写せたようですね♪
by supernova1987a
| 2024-10-14 15:43
| 天体写真
|
Comments(2)