機材レビュー

ズームアイピースSV230レビュー②

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★『喰わず嫌い』を打ち破る衝撃
元来あぷらなーとは「お気軽星雲写真」が好物なアマチュア天文家なので、あまり眼視観望をやりません。ここ数年で両肩と右足の手術を5回も受けたこともあり、以前のように力が出ないことと遠征がおっくうになったのが主要因ですが、年々目が悪くなってきており『いい機材で観望しても、あまり差が分からない』という事情もあります。
それでも、(近年はポチってないとは言え)それなりにアイピースが増殖しています。
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※複数個体を持っているものも結構あるので本当はもっと多いです。

しかし全く手を付けていなかったジャンルのアイピースがあります。それは「ズームアイピース」です。結構お値段が張るという理由もありますが、主な理由は「低倍率にすると見かけ視界が狭くなる」「ズーミングした後でピントを合わせ直すのが面倒くさそう」「さすがに単焦点アイピースと比べると像が悪そう」という3点でした。

ところが、SVBONYさんのご厚意で新鋭ズームアイピースSV230を試用する機会に恵まれ、日中の風景でテストしてみたところ、これらの懸念を払拭する素敵なアイピースだということが分かりました。

詳細は、上記リンク先のレビュー記事をご覧いただきたいのですが、SV230は
 ①十分にシャープ
 ②とても視界が広い
 ③ズーミングでピントがズレない(※視力にも依存する)
ということが分かりました。


★やはり、天体を眼視してみないとね
こうなると、実際に天体を観望してみたくなります。それも、比較用にポチったSV171、tenさんからお借りしたSV191、そしてSV230をサイドバイサイドで眼視比較できたら楽しそだなぁ・・・と目論んだわけです。

眼視比較ですから、これを装着する望遠鏡本体が問題です。アイピースを取っ替え引っ替えしたのでは、印象が狂いそうなので、どうしても「ある程度高性能な鏡筒を3連装する」必要がありました。ちなみに、現在の あぷらなーと は『アクロマート多連装を愛する』キャラで活動しているのですが、さすがに、アイピースの眼視観望レビューでコレはマズいでしょう。

というわけで、『アクロマート派』に移行する前の主力兵器である『フルアーマーBORG』を解体することを決意しました。(コレはBORG89ED×3本にビームスプリッタなどを併用することで5台の冷却CMOSカメラで7色同時露光できるという邪悪な機材です。)

<解体前>
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<解体・組み直し後>
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眼視に不必要な各種パーツをパージしたことで、とってもスッキリとした外観になりました(笑)


というわけで、『邪悪な星雲撮影専用仕様』から『健全な眼視観望専用仕様』として生まれ変わったBORG89ED三連装砲『グランデ』が出撃です!

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★ズームアイピース3種の見比べ

では、さっそく天体を実際に見比べてみましょう
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上記のように3本のBORG89EDにSV171・SV230・SV191を装着し、サイドバイサイドで天体を見比べてみようという作戦です。

さて、ここで重要な注意です。
あぷらなーとは近視+乱視+老眼ですので、裸眼でアイピースを覗くことができません。そこで今回の感想は、あくまでも「メガネを通した見え方の印象」に過ぎないことをご了承ください。


<視野中心のシャープさ>
M45とM42で見比べたのですが・・・すみません。正直、低倍率側でも高倍率側でも3本の差は分かりませんでした。どれも単焦点アイピースと遜色ないシャープさが楽しめました。


<視野周辺像の印象>
裸眼だと星が何重にも分裂して見えるので、メガネを装着しての感想であることをお断りしておきますが、3本のアイピースに若干の差が見られました。

SV171は片ボケっぽい像で、中央にピントを合わせると周辺部の片側がボケてしまいました。
SV191は全面にピントが合いましたが周辺像に若干の色ズレを感じました。
SV230は全面に渡り均質な像に感じました。

残念ながら裸眼で観望できる方がどのような印象を抱くか不明なのですが、とりあえず「近視+乱視」用メガネを併用した場合の相性に関する個人の感想だと解釈していただけるとありがたいです。

※これらの差は日中の景色では感じられなかった差なので、虹彩の絞り具合(瞳径)によっても大きく変化する可能性があります。


<ズーム操作性>
日中と異なり天体観望時は暗い中での操作なので、ズームリングの操作性は意外と重要です。
前回のレポートでも記載したように、ズームリングの操作性は

SV171:とても固くて操作困難
SV191:とても滑らかで快適そのもの
SV230:滑らかさはSV191に及ばないが適度なトルクで回せる。さらにクリックストップがあるので、暗闇でもどの焦点距離にしたのかが分かる

という印象でした。※SV171の固さが仕様なのか個体差なのかは不明です。


<ズームによるピント移動>
これも前回のレポートで詳細検証したのですが、今回テストした個体では

SV171は肉眼のピント位置が無限遠の場合にパーフォーカル
SV191は肉眼のピント位置が無限遠の場合にパーフォーカル
SV230は肉眼のピント位置が約1mの場合にパーフォーカル
※パーフォーカルとは、ズーミングしてもピント位置が変わらないこと

という印象で、天体観望時も同様の印象で、自分の場合はSV230が快適(ズーミングしてもピントの合わせ直しが全く不要)でした。

ところで、今回の試用でズームアイピースを楽しむ際の『お作法』が分かったので紹介しておきましょう。

①アイピースを高倍率側にする
②この状態でピントを合わせる
③低倍率側にズームする

の手順が良好な結果を生むようです。①で低倍率側でピントを合わせてしまうと、高倍率側にズームした際にどうしてもピントがズレてしまい、便利さが半減します。


<ズームによる視界変化>
今回の眼視比較で痛感したのが、低倍率側にズームした際の視野変化です。
前回のレビューでも検証したように、ここでSV230の圧倒的優位性が際立ちます。
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メガネ使用時にも均質な像が見られることに加えて、低倍率でも十分に広い視野が得られる点は忖度抜きで素晴らしいと感じました。個人的には、SV230を選択すべき最大の理由があるとすれば、この視野の広さだと思います。


★比較テストが終われば気楽に
さて、SVBONYさんの3種類のズームアイピースについて眼視版『同族対決』も一応完了しました。これで肩の荷が下りた(笑)ので、最後にSV230を用いたお気軽観望で星雲を楽しんでみましょう
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8cmアクロマートStarQuest80をモータードライブ付きの簡易赤道儀に載せ、正立プリズム+SV230でM42を観望してみました。アイピースを覗く姿勢が格段に楽になり、鳥が羽を広げたような星雲の姿をあらゆる倍率で堪能できました。

倍率を変えるためにアイピースを差し替え、その度にピントを合わせ直すのは結構めんどうくさいので、安価な望遠鏡を使う場合もSV230のような高視界&高性能のズームアイピースが1本あるだけで、楽しみ方が大きく広がるなぁ・・・と痛感した今回の眼視テストでした♪


★★★お約束★★★
①本レビューは、SVBONYさんのご厚意でお借りしたテスト個体によるものです
②実視比較結果は、あくまでもメガネを併用した場合の個人的な感想です
③近視・乱視・老眼・飛蚊症の4つにより、覗いた際のシャープさ評価には自信がありません
④比較に用いたアイピースのうち、SV191はtenさんからお借りした個体です。
⑤SV230の詳細は、下記の公式サイトをご参照ください

⑥アマゾンのSV230商品ページは、下記からご覧ください

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by supernova1987a | 2024-11-17 01:18 | 機材レビュー | Comments(0)

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