★過去、うっかり大人買いしてしまった物
かつてケンコーから販売されていた『尖った望遠鏡』としてMILTOL200という鏡筒があります。過去、ディスコンに伴う最終バーゲンセールで「うっかり6匹」買ってしまったという悪魔の筒です。
これは口径50mmF4のアクロマート屈折望遠鏡なのですが、商品名の「見る撮る」からも分かるように眼視と写真撮影の両用という珍しい望遠鏡です。そのため安価でありながらフラットナー(公称ではリレーレンズ)が内蔵されており、日中での撮影なら望遠レンズの代用品として十分使えます。
ただし、そのテイストは望遠鏡というよりも望遠レンズに近く、日中での色収差を目立たなくするために天体望遠鏡の定番であるC線とF線ではなく、写真用レンズでは定番のC線付近とg線付近で色消しになるよう設計されている『モダンアクロマート』のように見えます。そのため、QBPやDBPなどのデュアルナローバンドフィルターを併用した星雲撮影では、いわゆる『イクラ現象』が盛大に発生し、使い物になりません。イメージとしてはニコンのAi200mmF4などフィルム時代の(EDを用いない)普通の望遠レンズと似たテイストです。
※詳細はCANP2022・CP+2022サイトロンジャパンセミナー・星ナビ2022年2月号などで紹介しました。
そのため、MILTOL200で星雲を楽しむにはモノクロカメラとシングルナローバンドフィルタを装着して三連装化するなどして、SAO同時撮影などをするなどの工夫が必要です。
※詳細はCP+2022サイトロンジャパンセミナー・星ナビ2021年12月号などで紹介しました。
★本当にやりたかったこと
このように、すでに三連装化した『とりぷる☆みるとる』は実用域に達していたものの、問題はその口径の小ささで、ある程度鮮明に星雲を写し取るにはそれなりの総露光時間を掛ける必要がありました。
さて、前述のようにバーゲンセールで『大人買い』したMILTOL200は3本ではなく6本あります。
そこで、いつかは6連装して通常の6倍の撮影速度を実現してやろうと目論んでいたものの、ご想像の通り6連装の運用は非常に難易度が高く、非冷却CMOSカメラのサイドバイサイドテストをするために簡易的に組んだ1回だけで、その後はすぐに解体されて機材庫で眠っていました。これがプロトタイプの『へきさ☆みるとる』です。アライメント機構・ピント固定機構・撓み防止機構のいずれも搭載していないというダメダメなセットアップで、実用にはほど遠いネタ機材でした。
★CP+2025では『当て馬』に
さて、ダメダメなプロトタイプ『へきさ☆みるとる』ですが、最近では、CP+2025のサイトロンジャパンさんセミナーでHAC125の素敵さを彩るための当て馬として、不本意な活躍をしました。

要するに
「50mm屈折を6連装しなくてもHAC125を1本用意するだけで、ほぼ同等の光子収集能力がゲットできるため格段に楽ちんですよ」というネタですね。
しかし、不遇なMILTOL200達は、ひそかにリベンジを企てていたのです。
★少し真面目に6連装してみる
そこで今年のGW、これまでコツコツそろえてきた各種パーツを動員して、ついに真の『へきさ☆みるとる』を組んでみることにしました。

ちなみに、あぷらなーとは工作が大嫌いなので、全て市販パーツのみで組み上げました。
6本それぞれ方向の微調整が可能で、MAILTOL本体には無かったピントロック機能を実装し、装着カメラに応じた撓み防止策が講じられているという力作です!
「投げ売り状態だったMILTOLに対して、いったいいくらのパーツ代を投じたのだ?!」
などと野暮なことを考えてはいけません。これは、ロマンなのです!
さて、問題はカメラです。今回はHAC125に匹敵する超高速でSAOナローバンド撮影を実現することが目的ですので、手持ちのカメラ群から『精鋭たち』を選出しました。
今回のプロジェクトを完遂させるために編成した精鋭チームは、「非冷却だが強めのDPSで大半のホットピクセルを滅殺されたガイド用モノクロCMOSカメラ」Xena-M×3機、「グローバルシャッター機固有のバンディングノイズを押さえ込み、多めのホットピクセルも冷却で排除した太陽用モノクロCMOSカメラ」Apollo-M-Max-Pro×3機です。これら6機のモノクロカメラについて、Xenaチームには半値幅12nmのナローバンドフィルタを、Apolloチームには半値幅7nmのナローバンドフィルタを装着します。
「今こそ出でよ、新生『へきさ☆みるとる』 ッ!!」
ででん!!
どうです、このメカメカしさ!!まさに邪悪兵器という出で立ちで、ゾクゾクが止まりません。
ちなみに、こんな感じで各部を強化しています。
意外なことにMILTOL200はBORGパーツ互換の規格(フード外径が80mm鏡筒と同じ、接眼部は60mm鏡筒と同じ、ねじはまさかのM57規格)なので、強化リングなどは(K-Astecなどの)BORG用が転用できる点が素敵です。
★新生へきさ☆みるとる出撃!
さて、運良く晴天に恵まれたGW終盤、ついに新兵器が出撃するときがやってきました。

6匹のCMOSカメラを制御するために、
第10世代のCorei5ノートにXenaチーム・N100ミニPCにApolloチームをそれぞれ接続し、撮像データは有線LANケーブルで屋内の画像処理PCに直接書き込む作戦です。
焦点距離が短い上に画素数も160~230万画素ですので、オートガイドは潔くあきらめ、EQ6Pro赤道儀のノータッチガイドに運命を預けます。
これを屋内のサブPCからモニターして、撮影を行います。
※屋内のPCからライブビューしている画面のスクショ。我ながら壮観です♪
★ファーストライトはM16
さて、ファーストライトは想像の柱で有名なM16わし星雲です。
ナローバンドフィルタの威力で、スタック無しのライブビューでも明瞭に見えているので 勝利は約束されたようなものですが、ここはちゃんと画像処理を試してみましょう。そのため勝利の儀式「フラット撮影」も行うことにしました。

今回は各鏡筒のフード先端が揃うように位置調整をした上に、かなりタイトに鏡筒を配置したので、A3版のLEDトレース台1個で6匹同時にフラット撮影できました。とても楽ちんです♪
★画像処理はSI10のテストも兼ねて・・・
さて、32秒露光したライトフレームを6匹のモノクロカメラそれぞれで128コマ撮影し・ダークフレーム・フラットフレーム・フラットダークフレームも同数確保しました。したがって、合計3072フレームの画像処理をすることになります。機種や個体差によりノイズの出方は異なるのですが、せっかくですから拙作新機能を多数実装していただいたステライメージ10で画像処理を施してみましょう。
DPSをすり抜けた高輝度ホットピクセルと酩酊ピクセルの除去には「ソフトウェアピクセルマッピング法」、ダークの過補正による黒い縮緬ノイズの除去には「クールファイル補正法」、宇宙線二次粒子などの自然放射線ヒットの除去には「コスミカット法」をそれぞれ使ってみました。
また、ステライメージ10にはデジタル現像の他に新機能の「ピンポイントトーンカーブ」が実装されたので、いつもNikCollectionで行っていたHDR+ストラクチャ強調の代わりに使ってみました。仕上げた各カメラの単色画像はSAO合成し、PhotoShopの特定色域選択レイヤーを用いて色相変換しました。
すると・・・
ででん!!

9800円の爆安鏡筒で、
たった1時間(正確には68分)の撮影時間だとは思えないほど楽しいM16がゲットできました。
ふはははは。
見事じゃ。へきさ☆みるとる。
チート級モンスターHAC125へのリベンジも成功し、気が済んだであろう。心置きなく再びバラされて、機材庫の奥で眠るが良い(あれ?)
ええと、その・・・アレです。
3連装は楽ちんだけれど、さすがに6連装は色々と疲れる、ということですなぁ・・・。
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