機材レビュー

HAC125DXレビュー①

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★小サイズセンサーカメラの救世主
小サイズセンサーの天体用CMOSカメラの弱点の一つとして「同じ構図で撮るなら、より明るいF値の望遠鏡(レンズ)が必要になる」というものがあります。
長くなるので詳細は割愛しますが「センサーサイズ(対角長)を1/NにすることはN倍のテレコンを付けることに似ている」と考えるとイメージしやすいと思います。
そのため、多連装で物理的な獲得光子数を増やす方法↓も、一応考えられるのですが・・・

さすがにこれだと邪悪すぎるので、短焦点でありながら口径を犠牲にしない(結果としてF値が超絶明るい)尖った筒としてSkywatcherさんのHAC125に注目しました。
そこでCP+2025のサイトロンジャパンさんセミナーでは「スティック糊タイプ小型カメラの救世主が降臨」という物語で商品紹介を行いました。


また、セミナー中でも言及した「口径が同等ならセンサーサイズによらず同等の滑らかさが得られる」点については、実写テストによる検証ごっこを行って確認しました。

ただし、HAC125にも弱点があります。それは「使用できるカメラの制限が厳しすぎる」というものです。端的に言えば、スティック糊タイプ(スリムタイプ)のCMOSカメラ以外は(遮蔽による光量損失以前に)そもそも天体にピントが合わないのです。

そのため、メーカーサイドであらかじめ不良ピクセル無効化処理(DPSなど)を施したUranus-Cなどの優秀なカメラを使用することが不可能で、特にデュアルナローバンドフィルタ併用のワンショットナロー撮影を行うためには(ノイズが多いカラーカメラを運用するために)ステライメージ10に実装した「ソフトウェアピクセルマッピング法」や「クールファイル補正法」などを用いて画像処理する必要がありました。




というわけで、使用できるカメラがもっと増えれば良いのになぁ・・・と思っていたところ・・・


★驚愕の改良版HAC125DX登場!
なんと、無印HAC125の弱点を大幅に改良した「HAC125DX」が新登場しました。

※上記はシュミットさんの製品紹介ページへのリンクです。

詳細は、上記リンク先をご覧いただくとして、要するに「主鏡移動型の焦点機構に改良し、スティック糊タイプ以外のカメラでも使えるようになった」というのが一番の改良点です。X上で中の人から「DX版が登場するよ」という情報が流れてから、ずっとソワソワしていましたが、なんとサイトロンジャパンさんから「テスト機、使ってみたいですか??」とのオファーが。・・・速攻で「ぜひ!!!」となったのは言うまでもありません。

ででん!
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「DX」の文字が誇らしげですなぁ♪


★梅雨時なので、外観のインプレッションを
テスト機をお借りした段階で梅雨特有のぐずついた天気が続いており天体実写ができない状況でしたが、とりあえず無印からどこが変わったのかを見ていきましょう。

まずは無印との外観比較です。
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全体的に鏡筒が長くなっています。主鏡側にフォーカス機構が移動したのはもちろんですが、フードの長さも伸びています。

では、背面を見くらべてみましょう。
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DXの方はピント合わせ用のノブが追加されたこと以外に、光軸調整用ねじが『埋め込み』になっていることが分かります。そのため、工具なしでは光軸調整できなくなった反面、ピント合わせ時に不用意に手が触れるなどして光軸がずれる心配が無くなったとも言えるでしょう。また、ベンチレータらしき構造が見えますが、マニュアルにはここに言及した内容がなかったため詳細は不明です。なお、ピント合わせノブの感触は可もなく不可もなくといった印象ですが、バックラッシュは多めに感じました。またプライムフォーカス型のメリットとしてフォーカス機構を主鏡中央に配置できる点が効いているのかもしれませんが、通常の使用ではミラーシフトは感じませんでした。総じて、無印版で感じていた「ピント合わせ時にいちいちフードを外さないといけない」「冬季には手から立ち上る暖気で像が乱れるため、手を冷やすか手袋が必須」といった不便さが解消されている点が嬉しいです。


★装着可能なカメラは増えたの?
では、次に接眼部側を見比べてみましょう。
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DX版では、接眼部に3種類のアダプタが用意されており、それぞれテーパーで換装できるようになっています。また、細かな改良点として、無印版ではプラ製のネジで直接カメラを固定する仕様でしたが、DX版では接眼部内部にいわゆる締め付けリングが内蔵されており(カメラを傷つける心配が無いため?)固定ネジが金属製になっています。総じてカメラの固定強度は確実に向上しているように感じました。なお、無印版に付属していた「同焦点リング」(カメラに傷が入る弱点がありました)は廃止されたようです。

なお、接眼部にカメラを装着するアダプタは下記の3種が付属していました。
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たとえば、無印版では装着不能(正確には装着できるがピントが合わない)だったPlayerOneのUranus-Cでは、上記の右のアダプタを下記のように装着することで、フィルタ併用で運用が可能となります。
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なお接眼部の中央遮蔽径は53mmであるため公称では推奨カメラの最大径は53mm以下とされていますが、それよりも若干大きなUranus-C(約60mm)でも多少の光量損失を気にしないのであれば上記のように装着が可能です(ピントも出ます)。ただし、テーパー固定ねじは短い上にカメラ側ギリギリの場所にあるため、カメラによってはねじ止めに難儀する「かも」しれません。

気を付けるべきはさらに大きめのカメラの場合で、たとえば冷却版のUranus-C-Proではセンサー位置が非冷却版のUranus-Cよりも深いところにある(約17.5mm)ため、一応装着はできるものの、実際にはピントが合いませんでした。

購入を検討されている方は、シュミットさんの公式サイトなどで公開されている寸法制限を熟読する必要があるでしょう。
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★意外と重要なフードの改良
ここからは無印版HAC125を使用してきた身だからこそ分かる細かな改良点について見ていきます。
まずは、フードについてです。
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上図のように従来のHAC125のフードはそれ自身を鏡筒にねじ込む仕様でした。それに対してDX版のフードは3点ねじ止めで装着するようになっています。装着が簡単になったのはもちろんですが、DX版のフードにはカメラから生えたケーブルを筒外に逃がすための穴がついていまので、この穴の位置を自由に変えられるよう3点止めフード固定に変わったのだと考えられます。

さて、PlayerOneの『六角形のカメラ』は、カメラの背面ではなく側面からケーブルが生える仕様です。フードに穴が空いたおかげで、これまでコネクタがフード内面に干渉して装着が不可能だったカメラに対してもフード装着が可能となりました。ただし、フードの装着に関しては少々コツが要ります

まず、フードを外した状態でカメラを接眼部に取り付けた後、フードよりも先にケーブルをカメラに刺します。
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次にフードの穴にケーブルを通します。

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難しいのはここからで、カメラから生えているコネクタ(ケーブルの根本)に被せるようにフードの穴をあてがい、コネクタの一部がフードの内面に干渉するの避けます。そして、穴からケーブルを十分に引き出した状態で(かなりタイトですが)フードを本体に装着します。
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暗闇でこれをやると、カメラの固定が緩んだり、補正版に強い力がかかったり、コネクタを破損する危険性などもあるため、明るいうちにカメラとフードとケーブルの装着を済ませておくことをお勧めします。

なお、このようにしてPlayerOneのUranus-C・NeptuneCⅡ・ApolloM-Maxが装着可能なことは確かめましたが、同様にカメラの側面からケーブルが生えるタイプのうち、別メーカー製(ZWOの非冷却カメラなど)が装着可能なのかどうなのかは不明です。

フード全体が長くなり、ケーブルを逃がす穴が空いたメリットは意外に大きいです。下記はオプションのアクティブ冷却装置(空冷ファン)を装着したApolloM-MaxをHAC125DXに接続した状態ですが、ご覧のようにフードの先端までまだ余裕があります。

要するに、フードの先端からケーブルやカメラ本体がはみ出さないため、LEDトレース台などをフードに被せることができるようになりました。その結果フラット撮影が容易になった点がありがたいです。
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★その他の仕様変更
さて、望遠鏡のアリガタプレートを装着するアリミゾマウントにも色々なタイプがありますが、近年では上から落とし込むことができないほど寸法がタイトで、前後からプレートを滑り込ませるようにしないと装着できないタイプ(SVBONYやAstroStreetのの1本ハンドルタイプなど)も増えてきました。無印のHAC125のアリガタプレートは仕様上、プレート下部からネジ頭が飛び出しているので、そのようなタイトなアリミゾマウントには装着ができませんでした。
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それに対してDX版では、アリガタプレートの構造自体が全く変わっており、1本の引きねじと2本の押しネジで固定するタイプから引きねじ1本タイプになりました。そのため、プレート下部に突起物が無くなり、先述のようなタイトなアリミゾマウントにも装着が可能になりました。
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また、この仕様変更により、これまで不可能だった鏡筒バンドの間隔もある程度調節できるようになりました。
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あと細かいことですが、鏡筒バンドの内貼りの材質が異なります。無印だと布っぽいものが貼られていたのですが、DX版ではゴムっぽいものに変わりました。
無印版ではカメラを回転させるのが至難の業で、場合によっては鏡筒の方を回転させる必要があったのですが、DX版ではカメラの回転が少しやりやすくなったので、鏡筒バンド内のスベリよりも固定力を優先したのかもしれませんね。

★というわけで・・・
こんなに改良されたのに実売価格が10万円を切っているというバグったような低価格のHAC125DXくん。
果たして実写でも無印と同等かそれ以上の性能が出せるのか、梅雨明けが待ち遠しくてたまりません。
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★★★お約束★★★
①本レビューは、サイトロンジャパンさんからお借りしたテスト機について書いたものです。現在市場に出ている量産機が同じ仕様である保証はありません。
②カメラの選定条件については、図中で注記したように、あぷらなーとの主観を含みます。
③正確な情報に関しては、シュミットさんの公式ページなどをご参照ください。
④無印の従来版HAC125は、販売終了に伴いサイトロンジャパンさんに返却しましたので、今後DX版との直接比較は不能です。


Commented by せろお at 2025-06-23 21:32
な、なんてレビューをしてくださるですか!
買おうかどうか迷っていたのに欲しい側に傾くじゃないですかぁ
ZWO使いとしてHAC125を買わなかった理由、「使えるカラーカメラがない」が解消された?
ってことでいいんですかね?
できましたらZWOのカメラでのレビューもお願いします
Commented by supernova1987a at 2025-06-24 06:57
> せろおさん
ああ、傾いてしまいましたかー。
ZWOのカメラに関しては、センサー面の深さが公開されていると思いますので、記事中に引用した寸法図と見比べればピントが合うかどうかが分かります。ただし、記事中でコメントしたように「ケーブルが横から生える」タイプの非冷却カメラの場合は、ケーブルを逃がす穴の位置とカメラのケーブルコネクタ位置が合うかどうかがカギとなりますので、少々条件が厳しくなります。ちなみに手持ちのZWO冷却CMOSカメラ群については「光量損失は無視して、使えるかどうか」を随時テスト予定です♪
Commented by Span265 at 2025-07-01 12:58
いつも参考にさせてもらっています,,,

Xに書かれたコメントで、
「まあ今回の組合せだと、そもそもフラットフレームなんて不要なんだけど」
とありますが、理由など説明を補ってもえらえるとありがたいです。
Commented by supernova1987a at 2025-07-01 21:50
> Span265さん
コメントありがとうございます。

経験上、フラットフレームが必要となるのは、主に下記の7点だと解釈しています。

①望遠鏡の仕様で周辺減光が生じる場合
②センサーの仕様で周辺減光が生じる場合
③埃の付着などによる影が生じる場合
④センサーの仕様で特定波長で光量ムラが生じる場合
⑤光路中の遮蔽物(ケーブルなど)などにより不具合が生じる場合
⑥光路中の反射物(カメラ側面など)などにより不具合が生じる場合
⑦センサー中のピクセルそれぞれのキャリブレーションが必要な場合

このうち、今回の機材構成では
①と②については十分に小さなセンサーを使っているのでほぼ無視できる
③については、埃が混入しないよう保管時もフィルターを外さない運用をしている
④についてはシングルナローバンドではないため不具合を感じていない
という事情で、フラット補正は「ほぼ不要」と予想していました。

ただし、⑤⑥⑦に起因した不具合が出た場合に備えて(念のため)フラット撮影を行いました。なお、実際には⑤⑥の影響よりも光害によるカブリとアンプグローの影響の方が大きかったこと、⑦の影響よりも酩酊ピクセルなど不安定なピクセルによるダーク減算失敗の影響の方が大きかったことから、画像処理時にフラットフレームは使用しませんでした。

冬場のようにセンサー固有のノイズが少ない好条件下ではフラット補正の効果が得られるかもしれません。
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by supernova1987a | 2025-06-23 06:40 | 機材レビュー | Comments(4)

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