★なんだろう、このプレッシャーは
本来、HAC125DXは「小口径屈折の多連装」を「1本の鏡筒で制圧」するための秘密兵器だと、私は考えています。
ですので、強力なHAC125DXをさらに多連装するなどというのは、あきらかな反則行為です。
せっかく「小口径×多連装と大口径×1本とでは、どちらの方が強いのか?!」というプロレスごっこを楽しんでいるのに、そこに「大口径×多連装」が乱入してきたら、台無しです。
しかしながら、フォロワーさん達から呪いのような声援が聞こえてくるのですよ。
「HAC125DXは、いつ三連装化されるのだ?」
「CP+2025で展示されたHAC125は単筒だったのが残念。」
・・・だから、プレッシャー掛けられても、そればかりは反則なんだって・・・。
★前回実写してみて
さて、前回のレビューでHAC125DXの実写テストをしてみるて、予想外に好感触でした。
その時、小口径多連装砲を1本でなぎ倒すビグザムのごとき暴力的性能を目の当たりにした私は、ついウッカリ妄想してしまったのです。
「ふはははは。HAC125DXが多連装化の暁には、星雲なぞあっという間に・・・・」
・・・と(汗)
★やっちまった・・・
というわけで、後先考えずにやってしまいました。
「1本テスト機をお借りして使っているうちに、気が動転して2本買い増し」
という、Xena-Mのテスト案件時とソックリな悪夢の再来です。

ああ、なんという邪悪なフォルム!
運用前からゾクゾクが止まりません。
さて今回の作戦は、
1本でMILTOL200×6連装砲相当の速写能力を持つHAC125DXをさらに三連装することで、MITOL200×18本分の光子捕獲能力を手に入れ、
1回の出撃で十二分に滑らかな星雲のSAO合成(ハッブルパレット)写真をゲットしてしまう。
というものです。
できれば「HAC125DXは小サイズセンサーの非冷却カメラの救世主」という物語は崩したくなかったので、1/1.2型モノクロ非冷却CMOSカメラであるXena-M×3匹に(ブルーシフト現象を回避するため)12nm幅のHα・OⅢ・SⅡナローバンドフィルタをそれぞれ装着して、装填することにしました。
1セットで約5kg近くになりますので、赤道儀は主力のEQ6Proを投入。「手抜き撮影」というスタンスも大切なので、あえてノータッチガイドにこだわることにしました。

割愛できる装備は全てカットしたので、
それぞれの鏡筒から伸びているのはUSB3ケーブル1本だけ、というシンプルさが素敵です。
★無印版とのちょっとした違い
さて、無印版のHAC125でもXena-Mを装填してのナローバンド撮影はテスト済みだったのですが、DX版では装着可能なカメラの種類が桁違いに広がった反面、スティック糊タイプのカメラへのこだわりは低下したように感じます。そのためか、無印版に標準付属していた同焦点リング(ストッパー)が付いてきません。そこで、接眼部先端から目分量でXena-Mを少し引き出して装填する必要があります。
毎回これをやるのは面倒くさいので、サードパーティ製の同焦点リングを用意した方が便利かもしれません。
なお、3本試してみて、光学的な観点での個体差は少ないと感じました。3本とも納品状態で光軸はほぼ合ってましたし、無印版で見られた片ボケや恒星像の変形もかなり軽減されたように感じました。
それ以外で、強いて言えば
①3本のうち1個体は、フードが脱落した状態で納品された
②3本のうち1個体はキャップが緩すぎで、1個体はキャップがキツすぎだった
(無印版のように思い切り力を込めないとキャップが外れないほどではない)
③3本のうち1個体は、アリガタ(ドブテールバー)と鏡筒バンドが直交せず、かなり斜めに固定されていた
くらいが気になったことですが、本来の性能には影響が無いと思います。
★ピント合わせとアライメント
では、いよいよHAC125DX三連装砲の出撃です!!
前回のファーストライトでは、公称の規定サイズよりも大きく筐体が六角形のUranus-Cを用いたため、横から生えたケーブルとの間で非対称な回折光が生じることで、そのままでバーティノフマスクと同様のスパイク像変化が見られました。そこで前回はそれを利用してピント出しをしたのですが、今回は公称の規定サイズ内に収まるXena-Mで、しかもケーブルが背面から生えるタイプですので、バーティノフマスク的なスパイク像移動は起こりません。したがって、ライブビューを300~600%程度に拡大して実際の星像がどう変化するかを観察してピント合わせしました。ちなみに、この拡大率になるとどの個体もミラーシフトが感じられましたが、操作不能に陥るほどではありませんでした。十分な精度だと思います。
なお、HAC125DX+Xena-Mの組み合わせは初めてだったので、前述の接眼部先端からの引き出し量の加減が分からず、何度もフードやカメラやテーパーを付けたり外したりしながら調整したので、それなりに苦労しました。
さて、ピント合わせさえクリアすれば、あとは手慣れたものです(笑)。
まず鏡筒の外観を少し離れて目視観察して「3本が平行に見えるよう調整」するだけで、基準星が全鏡筒の写野に入る程度にはなります。次にライブビュー画面を見ながら基準星が正確に写野中央になるよう、左右の鏡筒を載せているガイドマウント(ビクセン製)の微動ねじをチョロッと回すと、あっという間にアライメントは完了です。一応各筒にドットファインダーも装着していますが、これはあくまでも『お守り』程度のもの。実際には全く出番がありませんでした。
なお、気をつけるべきは接眼部のテーパー固定で、この止めねじがかなり小さいので締め方が緩くなりがちで、油断すると露光中にカメラが回転してしまうことがありました。特に、子午線反転してカメラにかかる重力方向が逆転したり、ケーブルの重さがカメラに掛かっている場合などでは、特に注意が必要でしょう。なお、このねじが緩んでしまうと片ボケや星像の流れが認められました。事実上、フードを装着したままでの接眼部操作は不可能に近いので、面倒くさがらずフードを取り外して接眼部へのテーパー固定作業やカメラスリーブの引き抜き操作を行うのが安全だと思います。
★北アメリカ星雲にチャレンジ
では、お待ちかね。
ついに北アメリカ星雲のSAO同時撮影にチャレンジです。
3匹のXena-Mの制御は第10世代Corei5搭載のノートPC1機で行いましたが、ごらんのとおりライブビューの時点で各波長の北アメリカ星雲がハッキリと見えています。さすがはF2の明るさというところでしょう。さっそくXena-Mをゲイン300・オフセット159にし、各筒16秒露光で同時撮影します。
なお、ディザリングを伴わない(多連装では不可能に近い)ノータッチガイドのため、縮緬ノイズを緩和するための秘策として、露光は子午線反転の前後で各筒256コマずつ行いました。(これで星雲に対する固定ノイズ座標が180度回転し緩和される)
ダークは夜明け後にクーラーを入れた屋内でまとめて撮影しました。なお、センサーサイズが十分に小さいのでフラット撮影は省きました。
画像処理は、ステライメージ10とPhotoShopで行いました。
前処理では『ソフトウェアピクセルマッピング法』で酩酊ピクセルやメーカーさんのDPSをすり抜けた高輝度ピクセルなど、ダーク減算でも消せない異常ピクセルを全て無効化しました。また、Xena-MはASI1600などとは異なり固有のクールピクセルは少ないのですが、非冷却カメラの宿命でダークの過補正がおきる場合がありますので、『クールファイル補正法』で退治しました。また、人工衛星通過や宇宙線ヒットなどの影響を緩和するため、コンポジット時には『コスミカット法』を有効にしました。まあ、アレです。せっかく自分が考案したノイズ補正機能を実装して頂いたので、積極的に使わないとバチが当たります(笑)
ちなみに、Ryzen7-3700X搭載の自作デスクトップPCで処理した結果、ステライメージ10で「ライトフレーム512コマ×3セット+ダークフレーム256コマ×3セット」をロードして前処理しコンポジットが完了までの総時間は約20分でした。なかなか軽快な処理時間だと思います。(新機能の利用で、ホットクール除去フィルタやシグマクリップなどの重たい処理を避けられたこと、1台のPC内でステライメージを3匹立ち上げて3波長同時処理させたこと、なども効いています。)
コンポジット後の画像は、ステライメージ10のデジタル現像とピンポイントトーンカーブ調整で控えめに炙り出しを行い、TIFFファイルとして出力した後、再度ロードしてからSAO合成しました(FITSのままだと、実際にこの明るさなのか単にそう見えているだけなのか分からないので、この一度TIFFを吐かせる作業は重要です。)
SAO合成できた画像はPhotoShopに回し、特定色域の選択レイヤーを多段式に掛けて色相変換を行いました。
最後にステライメージ10のLab色彩調整とトーンカーブ調整で仕上げました。
すると・・・
ででん!!
ふはははは。圧倒的じゃないか、HAC125DXの三連装はッ!!
★セカンドライトはペリカンさん
さて、(三連装としての)ファーストライトが思いの外好感触だったので、翌日はペリカン星雲にチャレンジすることにしました。撮影の詳細は、前日の北アメリカ星雲撮影時と全く同じです。
ただし、画像処理は少しだけ真面目に行いました。
北アメリカ星雲の画像処理と異なるのは、
SAO合成を行う前に
①NikCollectionの階調圧縮とストラクチャ強調とデノイズを掛けること
②Registax6でウェーブレット処理すること
の2点を加えたことです。これらは、普段、アクロマート三連装砲+冷却CMOSカメラで撮影する時に愛用している味付け処理です。
では見せてもらおうか、HAC125DX三連装砲の性能とやらを!
ででん!!
うわぁ・・・。どうしよう。僕はとんでもない化け物を魔界の沼から召喚してしまったのかもしれない・・・。
★★★お約束★★★
①本レビューは、サイトロンジャパンさんのご厚意でお借りしたテスト機1本に加えて、自腹購入した量産機2本を加えて三連装化し、実写テストをしたものです
②3本の個体差については本文中に触れましたが、他の個体が同様のバラツキかどうかは不明です
③本テストでは3本とも納品時の状態をそのまま用いたため、光軸修正を施した場合には特性が変化する可能性があります
④ステライメージ10に実装したノイズ処理機能の具体的な使い方は星ナビ8月号にて紹介していますので、パラメータの設定などが不明な方はぜひご覧ください。また8月号記事と完全対応した練習素材として、私が実際に撮影したライトフレームとダークフレーム各128コマ(FMA135+LeXtreme+NeptuneCⅡで撮った星雲)を公式ページ(下記リンク先)にて公開してもらっています。
⑤HAC125DXの正式な製品情報につきましては、シュミットさんの製品ページ↓をご確認ください
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