★紆余曲折ありましたが、光明が・・・


※同一カメラの多連装の場合、SharpCap側から見分けが不可能なので、後日ダークなどを使い回しする際に取り違えの危険性があります。私は、上の写真のように運用波長を示すラベルを貼り、その波長以外では撮らないように心がけています。

ApolloM-Max-Proは、HAC125DXに付属するカメラアダプタのうち「テーパー&Tねじオス」を用いて接眼部に装填しますが、ピント位置をずらす役割のFPXフィルタはフィルタ枠が非常に厚いので、これをテーパー側(接眼部側)に装着すると、接眼部内部の遮光リングとぶつかって接続不能になります。そこで、上記のように「FPXフィルタはカメラ側」「ナローバンドフィルタは接眼部側」になるようにねじこみます。

もはや、対象天体が雲の切れ目に差し掛かった瞬間を撮影するしか道はありません。
そんななか、ターゲットの北アメリカ星雲が運良く雲の切れ目から顔を出したので、慌てて3筒同時に露光を開始します。
ところが、あっという間に雲の切れ目は過ぎ去ってしまい、ライブビュー画面は真っ白けに・・・
その後、3時間ほど粘りましたが、再び雲の切れ間が北アメリカ星雲にかかることはありませんでした(涙)。

これはひどい!!

※HAC125DX+笠井FPX+Apollo-M-Max-Pro×3連装 各筒に12nmHα・OⅢ・SⅡナロー使用

今回のケースだと、HAC125DXの実質F値が2.58相当となり、公式推奨である53mm以下の直径のカメラを用いた場合(実質F値2.21)に比べて約1.37倍の露光を掛ける必要があることが予想されます。



※画像は横位置で4コマコンポジットしたもので評価しています。今回のカメラはピクセルサイズが9μmという大きさであることに注意してください。

つまり、計算上フィルタをセンサーから約25㎜以下に接近させれば(フィルタによる)周辺減光は回避できると判断されます。

実は大変にショックを受けていたのです。
HAC125DXをお迎えする前にPlayerOneの1.1型冷却モノクロCMOSカメラApollo-M-Max-Proを3匹手配済みだった身としては「中央遮蔽などクソ食らえ!これはロマンなのだッ!!」とワクワクしていたのです。
ところが、HAC125DXの仕様上、どう頑張ってもApollo-M-Max-Proでは無限遠にピントが出ないことが発覚して、もう天を仰ぐような気持ち・・・。白状すれば、一時「PlayerOneではなくZWO・QHY・SVBONYの冷却カメラにしておくべきだったか・・・」とげんなりしていたのも事実です。
ところが、色々と画策した結果、笠井トレーディングのFPXフィルタ(3mm厚のBK7平面ガラスでピント位置を後方に約1mmずらすアイテム)を併用することで、無改造でもピントが出る可能性が急浮上してきました。
★天気が悪いけれど、もう時間が無い
さて、先述のリンク先記事で行ったのは、日中の風景の試写だけです。この時点で無限遠にピントが合うことは判明しましたが、副作用により(特に周辺の)像が悪化するかもしれませんし、強烈なゴーストやサッポロポテト現象を誘発して撃沈する可能性もありました。一刻も早く星雲実写テストをせねば!とソワソワするものの、あいにく連日の曇天続きです。あぷらなーとは、現在広島県に住んでいるのですが、連休などで香川県の実家も帰省した時にしか撮影チャンスがありません。お盆休みは1週間ありましたが、本業の関係で夏休みの最終日は赴任先でゴソゴソ仕事しないといけないので、まさに今夜が最終チャンス。
GPVやSCWの気象予報では「曇り・ときどき雨」の見込みでしたが、もう後がありません。
というわけで、悪条件は承知の上で強行出撃することを決意しました。
★最善のセットアップを!
今回のセットアップはこんな感じです。

架台は、実家のお庭に常設しているEQ6Pro赤道儀
鏡筒は、サイトロンジャパンさんからレビュー用にお借りしたHAC125DX1本に自腹買い増しした2本を加えた3連装砲
カメラは、PlayerOneのApollo-M-Max-Pro×3機

そして今回のキモは、下記のパーツです。

ナローバンドフィルタは半値幅12nmの緩めのものをチョイス
CP+2025でもお話ししたように、あまり高性能な(半値幅が狭い)フィルタを用いると、HAC125DXのF値の明るさが災いして「ブルーシフト現象」が発生し、星雲の明るさが減少して光害が増大するという本末転倒な結果になる恐れがあるからです。
★いざ出撃・・・するも
張り切って機材のセットアップを進めるうちに、どんどん雲が増え、ついには全天が雲に覆われてしまいました。

冷却温度0℃・オフセット50・ゲイン300・露出時間16秒で連写です。


★何コマ生き残ったのか?
さて、雲の切れ目が通過した撮影開始時から64コマ分を観察し、果たして生き残ったコマが存在するのかどうかをチェックしてみましょう。
すると・・・
でで・・・んぎゃあ!

「明るい雲の通過で真っ白け」か「暗い雲の通過で真っ黒け」のコマばかりで、結局、北アメリカ星雲がハッキリ写ったのは撮影開始直後の4コマだけでした。
★企画の趣旨を変更♪
くっくっく。こうなったら、逆に考えるんだ!
これほど劣悪な条件下でSAOナローバンド撮影をするなど、無謀。
結局1分間しか晴れなかった(雲の切れ目が終わった)訳ですから、メジャーな単筒+フィルタホイールでの撮影法だと、フィルター交換のヒマすら与えられず撃沈するはず。こういう時ほど多連装同時撮影の独壇場。たとえ撮影枚数が少なくとも、そこには必ず「Hα・OⅢ・SⅡの各画像が、同じ枚数だけ揃っている」のです!
要するに、HαもOⅢもSⅡも、それぞれ4コマだけ生き残ったという訳です。
1コマ16秒露光なので、結局撮影に成功した時間は「たった1分間」(正確には64秒間)しかなかったということになります。
ならば、企画を変えちゃいましょう。
当初の目的は「HAC125DX+FPX+Apollo-M-Max-Proで美しい星雲画像が写せるか?」だったのですが、そんなもの最初から無かったことにしてしまえば問題ありません。
そう。今回の作戦は、きっと最初から
「市街地から1分間で北アメリカ星雲を攻略できるのかッ?!」
だったのだッ!!
これはまさに、「明るい光学系・効果的な光害カット・高感度低ノイズなカメラ・多連装同時撮影」の4つが揃って初めて可能となる、鬼のような難題。
では、
「見せてもらおうか。邪悪な3連装の速写性とやらを!」
ででん!!

3機とも冷却温度0℃・ゲイン300・露出16秒×4コマ EQ6Pro赤道儀ノータッチガイド
ダーク・フラット・フラットダークあり ステライメージ10+Photoshop+NikCollectionで画像処理
すげえ・・・たった1分間で悪魔的な写りだ(笑)
★★★補足とお約束★★★
①公称では推奨されていない直径のカメラ(太すぎ)を装着しており、中央遮蔽の影響は大きくなります。
<参考>概算すると、下記の表のような影響が予想されます

②FPXの併用でピントを合わせることと、本来のフランジバックを守ることは「別問題」です。個人的には星像の劣化は気になりませんでした(予想外の好結果)が、好条件下で十分な総露光時間を与えた場合は、劣化が目立つ可能性もあります。
<参考>今回の条件で実写したピクセル等倍チャートは以下の通りです。
・Hα担当筒

・OⅢ担当筒

・SⅡ担当筒

※公称推奨機種よりも重たいカメラを装着しているため撓みが発生する可能性や、ミラーシフトの影響、そして公称よりも補正レンズからセンサーまでの距離が伸びている点などがある点にも注意してください。
③今回はゴーストが目立っていませんが、今後総露光時間を延ばしたり、より明るい恒星を写した場合には顕在化する可能性もあります。(特にOⅢ)
<参考>本来は、平面エレメントとOⅢナローバンドフィルタを接近させるのは危険だと実感しています。
④今回は、かなり強めの周辺減光が生じました。Apollo-M-Maxは公称のイメージサークルと比べてちょっぴり対角長が長いだけなので、HAC125DX自体の問題ではありません。またフィルタの直径に関しても、あまり問題はありません。
<参考>計算式は下記リンク先で求めました。
その場合の「幾何学的計算結果」は下記のようになります

ところが、実際には強い周辺減光が出ます。その原因は「フィルタ枠の長さ合計が長すぎる」ことだと解釈しています。
つまり、フィルタの直径自体は十分なのですが、枠が厚すぎて、ちょうどトイレットペーパーの芯を斜めに覗き込んだ時のように枠の前後でケラレが生じている状態になっているからです。
そのため、今回はフラット撮影を行いました。フラットの有無を比較すると下記のようになります。

※左:フラット無し 右:フラットあり
<参考>細かく言えば、素人考えでも「周辺減光が生じる過程は非常に複雑」なので、下記で考察ごっこした計算式を改良すれば、今回の周辺減光に関してもある程度は検証できると思っています。
⑥本件の事実確認に関して、サイトロンジャパンさんは一切関与していません。
わずか1分でこの写り。すごいですね。
カラー画像もさることながら、一番下のフラット比較のHα画像の写りの説得力!
HAC125DXの特性もさることながら、それを使いこなされているあぷらなーとさんの知識と腕前あってのことと思います。
カメラも、IMX432をチョイスされており、超高感度・高速天体撮像に全振り。
やっぱりCMOSでも9μ□画素だとコントラストが高い映像が得られますでしょうか?(ST8XMEのときはそうでしたので・・)
対彗星にも威力を発揮しそうですね。
3連装までやらなくても、現実的な2連装でカラーカメラとモノクロカメラで、高効率LRGBとか、モノクロカメラにHα、カラーカメラ側にColorMagicD2で撮影すると、高速SAO撮影ができそうです。
夢と可能性が広がるシステムですね。
カラー画像もさることながら、一番下のフラット比較のHα画像の写りの説得力!
HAC125DXの特性もさることながら、それを使いこなされているあぷらなーとさんの知識と腕前あってのことと思います。
カメラも、IMX432をチョイスされており、超高感度・高速天体撮像に全振り。
やっぱりCMOSでも9μ□画素だとコントラストが高い映像が得られますでしょうか?(ST8XMEのときはそうでしたので・・)
対彗星にも威力を発揮しそうですね。
3連装までやらなくても、現実的な2連装でカラーカメラとモノクロカメラで、高効率LRGBとか、モノクロカメラにHα、カラーカメラ側にColorMagicD2で撮影すると、高速SAO撮影ができそうです。
夢と可能性が広がるシステムですね。
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> UTOさん
ありがとうございます。
CMOSカメラの場合は本物のビニングができる機種が少ないので、最初からピクセルサイズが大きなカメラにも意義があると思っています。実際にはビニングや画像処理でのリサイズに伴うリードノイズの悪影響よりも、総露光時間や光学系の明るさや夜空の暗さなどの方が効いてくるとは思いますが、おっしゃる通り今回は「超高感度・高速天体撮像に全振り」したセットアップを試してみました。
※Apollo-M-Max-Proが(グローバルシャッター機でありながら)バンディングノイズが少ない特性を持っているのが、短時間露光で済むことに大きく寄与しています。これはXena-Mではできないことです。
なお、ご推察の通り、「モノクロ+カラーでL-RGB同時露光」や「デュアルナロー+カラーとシングルバンドナロー+モノクロでSAO」なども準備中です♪
ありがとうございます。
CMOSカメラの場合は本物のビニングができる機種が少ないので、最初からピクセルサイズが大きなカメラにも意義があると思っています。実際にはビニングや画像処理でのリサイズに伴うリードノイズの悪影響よりも、総露光時間や光学系の明るさや夜空の暗さなどの方が効いてくるとは思いますが、おっしゃる通り今回は「超高感度・高速天体撮像に全振り」したセットアップを試してみました。
※Apollo-M-Max-Proが(グローバルシャッター機でありながら)バンディングノイズが少ない特性を持っているのが、短時間露光で済むことに大きく寄与しています。これはXena-Mではできないことです。
なお、ご推察の通り、「モノクロ+カラーでL-RGB同時露光」や「デュアルナロー+カラーとシングルバンドナロー+モノクロでSAO」なども準備中です♪
by supernova1987a
| 2025-08-16 12:15
| 機材レビュー
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Comments(2)

