
★公式非推奨の組み合わせだけど・・・『レビュー案件』の場合は、そもそも公式非推奨な使い方は望ましくないのですが、どうしても好奇心が勝ってしまい、前回は本来無理なはずの「HAC125\dx+PlayerOneの冷却CMOSカメラ」での運用を試してみました。
詳細は上の記事をご覧いただくとして、要するに笠井のFPXフィルタを併用することでピント位置を後方にズラし、PlayerOneのApollo-M-Max-Proでもピントが合うことが確認できました。
ただし、天候が悪く、たったの「総露光1分」しか撮影できなかったので今回リベンジすることに・・・。
★若干の改良
ちなみに、あぷらなーとの十八番「三連装戦法」は撮影時間が長く取れない場合には圧倒的パフォーマンスを発揮するのですが、それなりにリスクがあります。
その中でも、もっとも恐ろしいのは「鏡筒の脱落事故」です。特に、暗闇で組み立てるときにはアリガタプレートがアリミゾにきっちりとはまっていない状態になったり、組み立て途中で赤緯方向のバランスが崩れて勝手に回転したりすると、大事故につながります。実は鏡筒を落下させたことが2度ほどありますが、背筋が凍ります。
普段使っている格安アクロマートなら落下で破損しても買いなおせば良いのですが、HAC125DXはそれなりに高価なので、なんとか無事故で切り抜けたいところです。
さて、様々な失敗を経て、三連装の鏡筒を組む時には次のような手順を踏むようにしています。
①北を向けたポジションで、まず真ん中の鏡筒を乗せる。
②東を向けたポジションにして、向かって右側の鏡筒を乗せる。
(こうすると、赤緯クランプが緩んでいても回転しない。また赤緯ギアに負担が掛からない)
③東に向けたポジションのまま、向かって左側の鏡筒を乗せる。
④赤経クランプを緩めて東西方向のバランスを確認してからクランプを締め、バランスウエイトで調整する。
⑤赤緯クランプを緩めて南北方向のバランスを確認してからクランプを締め、鏡筒を前後にスライドして調整する。
⑥最終的には、カメラやケーブルを接続した状態で赤経クランプと赤緯クランプの両方を緩めても鏡筒が止まる状態に追い込む
この過程の中で、最も危険なのが③の工程です。目線よりも高い位置にアリミゾがくるため脱落しやすいのと、中央の筒が邪魔するため、鏡筒の重さを右下から手で支えられないからです。そのため、今回はアリガタプレートを鏡筒の上下2本に増やし、上側のアリガタプレートを取っ手として利用するように改良しました。

ところで、HAC125DXの鏡筒バンドのうち1本には、あらかじめ上向きに1/4インチオスネジが生えています。また、このネジは取り外し不能(鏡筒バンドの内側のクッション材をはがせば取り外し可能だが、面倒くさい)です。そこで色々と試行錯誤した結果、
1/4メス・M6メスのアダプタを流用してプレートを取り付ける方法に落ち着きました。

上図の黒いノブのようなパーツがそれです。また、締め方が頼りない場合は、このアダプタのM6メスにM6ボルトをねじ込めば固定力をアップできます。
鏡筒を乗せるときには、このアリガタプレートを片手でしっかりと握って反対側の手でアリミゾのクランプを締めることになります。
次に、撮像用のPCシステムです。
普段はノートPCを用いているのですが、今回は安くて小型で高速な、いわゆるミニPCを用いました。Ryzen7搭載でメモリ16GBですから十分な処理速度です。

なお、EQ6Proのハンドコントローラーはコードが短いのでPCの操作をしながらコントローラを扱うのが困難なのですが、実はこのコントローラのコードはLANケーブルと互換性があるので、
1m程度のLANケーブルで延長しています。かなり快適です♪
また、PlayerOneの冷却CMOSカメラはUSB-Cのケーブルで接続するのですが、USB3.1の仕様上、長さが2mしかありません。そのため、鏡筒の向きによってはケーブルが赤道儀にひっかかったりして、ケーブルの脱落やコネクタの破損の恐れがあります。そのため、赤道儀に固定したUSBハブを介してPCに接続するようにしました。※USB3.1は色々と気難しいので、数種類のハブを試してみて通信が安定していたハブを用いました。実際はリピーター機能を有していたり補助電源機構を有していてもカメラを認識できないハブも多いです。
さて、三連装の場合にピント合わせやアライメント時に厄介なのは「モニタが見える状態で、ピントノブや微動マウントのノブに手が届くか」です。そのため、今回は15インチのモバイルモニタを360度回転可能なスタンドに乗せ、鏡筒がどこを向いていても任意の方向にモニタが向けられるように改良しました。

冷却CMOSカメラは冷却用にDC電源を接続する必要がありますが、フードの穴からスムーズにケーブルを逃がせるように、今回は
L字アダプタをかませました。
その他にも、三連装を気軽に運用するためには色々なノウハウがあるのですが、それはまたの機会に紹介したいと思います。
ともあれ、今回の各種改良は効果絶大で、組み立て開始から3鏡筒の方向アライメントやピント合わせなどを含めた全行程をわずか50分で切り抜けることに成功しました。前回は2時間以上かかったので、大進歩です♪
★条件は悪いが、リベンジ撮影決行!
今回もあいにく雲が流れる悪コンディションでしたが、強引に撮影を開始しました。
ターゲットはペリカン星雲です!
50分のセットアップ時間にしては、なかなか良い追い込み具合です♪
雲が流れる条件ゆえにガイド星をロストして暴走する危険性が高かったので、今回もいさぎよくノータッチガイドで攻めます。
★ドキドキのリザルトは・・・
16秒露光を400コマほど連写した中で、雲が掛かっていないライトフレームを各筒につき60コマ確保できました。
さっそく、ステライメージ10とPhotoShopで画像処理してみましょう。
すると・・・
ででん!
※HAC125DX+笠井FPXフィルタ+Apollo-M-Max-Pro+12nmHα・OⅢ・SⅡナローバンドフィルタ 0℃ ゲイン300 オフセット50 各筒につき16秒露光×60 ダーク・フラット・フラットダークは各128コマ使用 通常のダーク・フラット処理に加えて、ステライメージ10の「ピクセルマッピング」「クールファイル補正」「コスミカットコンポジット」使用。PhotoShopの特定色域調整レイヤー処理で色相変換。
ふはははは。
運用時間16分でこの写りとは、愉快すぎるわ!
★他の対象も速写!!
第2のターゲットはハート星雲です。
いきなり、ででん!!

※各筒につきライトフレーム128コマ使用。他の条件はペリカン星雲と同じ。
第3のターゲットは、ソウル星雲です。
ででん!!!

※各筒につきライトフレーム256コマ使用。他の条件はペリカン星雲と同じ。
うむ、痛快じゃ~♪
★こっそりおまけ
実は、ひそかに「第4のターゲット」も撮影していました。
人生初挑戦となるライオン星雲。
こちらは、まあアレです。淡くて難敵な上にフラット(実は疲れて面倒くさかったので、禁断の「前回の使いまわし」)が合わなかったので不本意な出来ですが、一応撮りましたよ、ということで・・・。

※各筒につきライトフレーム128コマ使用。他の条件はペリカン星雲と同じ。
こいつは、まあ・・・いつか真面目に撮り直します(汗)
★ともかく・・・
18:30まで広島県の職場でお仕事してからお部屋に戻ってお掃除をして、荷物をまとめて香川県の実家に移動。そこから機材を出し始めたという強行軍にも関わらず(一応)4対象のSAO画像をゲットできたのだから、HAC125DX三連装砲の速写性は実証されたかなぁ・・・。
ええ「忙しい人には、HAC125DXの三連装が効く!」のです(笑)
めでたし、めでたし♪
★★★お約束と補足★★★
①公称では推奨されていない直径のカメラ(太すぎ)を装着しており、中央遮蔽の影響は大きくなります。
②この組み合わせだとかなり強めの周辺減光が生じます。また、特にOⅢのフラットが合いにくいです。
③キンキンに冷やせる上に高感度でノイズの少ないApolloM-Max-Proとは言え、人工衛星が通過したり、ホットピクセルが暴れたり、宇宙線がヒットしたりすることによるノイズは回避できません。ちなみにステライメージ10に実装していただいた(拙作「邪崇帝主」由来の)新機能の効果は下記のとおりです♪
④今回の条件では、一部の画像に星像の部分的な流れが生じましたが、そもそも公称推奨外の組み合わせなので文句は言えません。よって、目の肥えた方には推奨できません。
⑤総合的に考えて、公称推奨範囲内の仕様であるXena-Mを用いた運用↓の方がおススメです。明らかに画像処理の難易度が低いと感じました。
⑥お庭で天体撮影をする際のセットアップで(個人的に)最も負担が大きいのは赤道儀の設置作業です。私の場合は、この状態↓でEQ6Pro赤道儀&ピラーを常時出しっぱなしにしており、これが時間短縮に絶大な効果を発揮しています。もちろん風雨や日射の悪影響はあるでしょうが、設置してから7年間ノートラブルで動いています。
⑦今回のセットアップの可否に関しては、サイトロンジャパンさんは一切関与されていません。
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