
★2025年も暮れようとしています
今年は、公私ともに色々なことがあり、思い返すとあっという間の1年間でした。
では、恒例の「ふりかえり」行ってみましょう。
★環境の変化
あぷらなーとは、(院生時代に数ヶ月だけ南米に住んだことを除けば)ずっと四国内で暮らしていたのですが、本業の関係で4月から広島県に赴任することになりました。
せまいアパートでの一人暮らしになったので、実家に常備している膨大な天文機材達を連れて行くわけにもいかず、天体写真を撮るチャンスが激減してしまいました。
それでも連休が取れた時には極力実家に帰って撮影チャンスを活かすよう努力し、色々な成果が得られた1年でした。
ちなみに、下記の通り数少ない撮影チャンス日を狙い、集中砲火的に天体写真を撮って切り抜けました(夜の長さよりも総露光時間が長い日も・・・)。

※動画での撮影時間は割愛しています
本業が激務だったり転勤に伴う諸々で天文どころじゃない月があったのも事実ですが、後述のように色々な案件を抱えていて天体写真を楽しむ余裕がなかったという事情もあります。

※動画での撮影時間は割愛しています
では、どんな天文活動をしたのか詳細に振り返ってみましょう。
★開発関連
1番大きな成果は、アストロアーツさんの老舗天体画像処理ソフト「ステライメージ10」に私が開発した各種メソッドを実装していただけたことです。開発言語が異なるのでソースコードのやりとりはせず、ロジックの提供と議論、そして膨大な量のテスト処理を繰り返すことで、オリジナル(拙作「邪崇帝主(ジャスティス)」)の性能を再現することができました。
※実際には2024年から本格的に実装作業を進めてきましたが、なんとか完成したのが2025年の1月です。
実装して頂いたのは、まず比較明合成時に生じる光跡の途切れを加工ではなく理論的に解消する「ハイパーイーブンオッド法」です。現象が発生する原理を調査する過程を含めると、実に8年を掛けた労作です。
次に、CMOSセンサー内に存在するクールピクセル(コールドピクセル)や、ダークの過補正などによって生じる『黒い縮緬ノイズ』を軽減する「クールファイル補正法」です。この手法は複雑な工程を含むため、他の処理と非交換的な性質を持ち、特にカラーセンサーへの対応には、既存サブルーチンとの処理順序に関してねばり強く議論して目標の性能を出すことに成功しました。
そして、独自ロジックでカメラ固有の不良ピクセルの位置を特定し、画質への影響を与えることなノイズのみを排除する「時系列ダーク解析法」&「ソフトウェアピクセルマッピング法」です。これにより、任意のカメラを撮影者の好みに合わせたノイズ特性に調整することが可能となりました。
最後に、宇宙線二次粒子のヒットなどにより生じる突発ノイズをコロンブスの卵的な愉快な発想で退治する「コスミカット法」です。完璧ではありませんが人工衛星の光跡除去にも高い効果が得られます。なお、一般的なシグマクリッピングよりもメモリ消費量が少なく、演算速度も大変高速な点が自慢です。
また、処理の一部として開発した工夫ではありますが、ダーク減算によりシグナルが失われたり、ダークの温度が高かった場合にダークの補正不足が起こる怪現象を解消するためのテクニック「マイナス輝度値保護機能」です。オリジナルでは『手動ダーク減算法』と呼んでいましたが、誤解を招きそうなので、呼称を変えて頂きました。
★出演関連
5回目となるCP+のサイトロンジャパンさんセミナーに登壇させて頂きました。
昨年に引き続き今年も横浜パシフィコ現地会場で、楽しくトークすることができました。アクロマートを主役に据えたこれまでとは異なり、今回は口径125mmF2という尖ったスペックを誇る新製品SkyWatcherのHAC125を中心として、「小サイズセンサーを救済する」という物語で構成しました。
★執筆関連
ステライメージ10の新発売に連動し、アストロアーツさんの月刊星ナビ2025年6月号から8月号にかけて、「Deepな天体写真」コーナーにノイズ処理に関する短期連載記事を執筆させていただきました。
特に、最終回となる2025年8月号記事では、記事中で用いたRAWデータをそのまま読者様に共有し、誌面を見ながらステライメージ10の新機能を体験して頂けるようになっています。
★レビュー『案件』関連
①SkyWatcherのHAC125DX
CP+2025でも紹介したHAC125ですが、その弱点を大幅に改良したHAC125DXが新登場しました。サイトロンジャパンのご厚意でテスト機をお借りできましたので、その実力をブログでレビューしました。
②SVBONY SV220(3nm版)フィルター
まだテスト中なのでブログ記事にはまとめていませんが、SVBONYさんのご厚意で透過幅3nmという驚異のスペックを誇るデュアルナローバンド系フィルタSV220のレビュー機会をいただきました。

年末の連休に入ってから、10cmF5アクロマート三連装砲を用いて集中的に実写テストを行いました。

今後、他フィルタ8種(7nm版SV220・L-eXtreme・DBP+・QBPⅢ・CBP・CLS・LPS-D1・IR/UVcut)との実写比較テスト結果を公開する予定ですので、ご期待ください。
★考察ごっこ・検証ごっこ関連
①QHY5Ⅲ585Cの謎解き
本来、HAC125の実写テスト用に購入したスティック糊タイプのカラーCMOSカメラQHY5Ⅲ585Cですが、いざ実写してみるとダークフレームの挙動に不可解な点が見られたので、その解決法を模索してみました。
②Uranus-Cの「HDRモード」
サイトロンジャパンさんからPlayerOneの非冷却カラーCMOSカメラUranus-Cを最新ファームアップすると、これまで封印されていた「HDRモード」が開放されるらしい、との情報を頂きましたので、その効果と仕掛けを検証&考察ごっこしました。
★機材開発ごっこ関連
単なる遊びの域は越えていないのですが、大好きなMILTOL200を6連装化した『へきさ☆みるとる』に様々な工夫を加えて作り直し、実用域に到達しました。
★天文現象関連
①ペルセウス座流星群
昨年から試行錯誤している動画での流星撮影にチャレンジしました。
あいにく天候が悪かったのですが、一定の成果は得られました。
②皆既月食
忙しかったので十分な時間が取れず、今年はパスするつもりだったのですが、アパートのベランダからインターバル撮影することには一応成功しました。

※三脚併用で固定撮影 トリミングあり
③レモン彗星
前評判ほどの明るさには至りませんでしたが、C/2025A6レモン彗星はダストテイルとイオンテイルの両方が発達し、非常に美しい姿を見せているとのこと。
そこで、久しぶりにプチ遠征してHAC125DXでの撮影に成功しました。
また、(HAC125DXの明るさが災いし)コマが明るすぎて核が埋もれてしまい、彗星核基準の位置合わせが不能だったため、ステライメージ10のメトカーフコンポジット機能をマニュアル操作(ステラナビゲータなどの位置推算ソフトの力を借りない)について検証ごっこし、その原理と合わせて詳細手順を解説しました。
★というわけで
今年も大変お世話になりました。
みなさま、よいお年を♪
by supernova1987a
| 2025-12-31 11:51
| 振り返り
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