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あぷらなーとの写真ブログ
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あぷらなーと
文系寄りの元理系(?)
「天体」「マクロ」「実験ごっこ」その他諸々の科学写真が大好きな HN:あぷらなーと が いろんな写真ネタをのんびり語ります。あまり気合い入れすぎると続かないので、「ぼちぼち」いきます。
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2017年 02月 21日 ( 1 )

ショットノイズの『考察ごっこ』①

★稼働率を上げる企み失敗

いやー。なかなか上手く行かないものですね。
BORG89ED+GPDでコンパクトな機材を組んで、赴任地のベランダ観測態勢を整えようと目論んだものの、諸々の事情で頓挫(涙)。

諸事情①
 実家のうち、江戸時代の築である母屋や土蔵や土塀などが崩落を始め、危険だと行政から警告されたので、しぶしぶ撤去工事に着工
諸事情②
 徳島から香川へ転勤命令が出たので、諸準備開始

・・・正直、全く身動きが取れなくなりました。

★撮影できない夜と言えば、『考察ごっこ』

・・・というわけで、久々に『考察ごっこ』をして憂さ晴らしすることにします。
やれやれ・・・。

★短時間露光+多数枚コンポの優位性を検証していた際に

暗い天体を短時間露光で撮影した場合、ザラザラの画像になりますが、これはノイズと言うよりもむしろ「揺らぎ」に近いモノだと私は解釈しています。
天体から飛んでくる光子1粒のエネルギーは、プランク定数をh・振動数をνとした場合、hνで表されます。
要するに、天体の明るさでは無く光の波長のみで決まります。また、光子1粒のエネルギーによって光電効果(センサーから信号が出るかどうか)の閾値が決まるため、理論的にはどんなに暗い天体であっても、光子が1粒でも入射すれば『感光』します。
ただし、暗い天体は「まばらにしか光子が飛んでこない」ために、「たまにしか写らない」と解釈できます。

光子が飛んでくる頻度が低い場合、特定の時間内にカウントされる光子数はポアッソン分布に従うので、その揺らぎが「ショットノイズ」の主要因だと判断できます。

例えるなら、パラパラと雨が降ってきているとき、短時間だけ紙に雨を当てると『ポツポツ』が写り、長時間雨にさらすと全体が濡れるのと同じ原理です。したがって、短時間露光であってもそのデータを積算(加算コンポジット)すれば長時間露光と同様の絵が写せる「はず」です。

飛んでこない粒は捕獲できませんので、今後「いかに高感度なセンサーが開発されても」短時間露光では、ザラザラにしか写りません。


・・・と、ここまでは以前「考察ごっこ」したのですが・・・。



★そもそも、本当に光子がパラパラ飛んできているのか?

あぷらなーとの(過去の)専門は、「高エネルギー宇宙線物理学」なので、ガンマ線とか諸々の「すんごい高エネルギー」の放射線には詳しくても、天体観測で撮影するときのような「可視光線」に関しては守備範囲外でした。
・・・で、撮影できない憂さ晴らしに、少しだけ勉強を開始することに♪


<注>ど素人の考察なので、以下、色々と間違いや勘違いがあるかもしれません。


①前提条件
 一般的に「天体の等級」と言った場合は、肉眼の感度が高い緑色(550nm付近)の光の強さを指します。
 これをV等級と言います。


②X等級の天体から飛んでくる光子の総エネルギー
 天体の等級を X(等級)
 カウントする波長のバンドパス(許容する波長の範囲)を d(㎛)
 とすると

 1秒当たり1㎠の地表に飛んでくる光子の総エネルギーは

 W=10^(-X/2.5)×4×10^-12×d(J)

 となります。


③X等級の天体から飛んでくる光子のフラックス
 ここで言うフラックスとは、1秒間に単位面積あたりどれだけの光子が流れ込んでくるかを指します。

 プランク定数を h 観測する光の振動数を ν (Hz)
 とした場合の光子1粒当たりのエネルギーはhνとなるので、先ほどのエネルギーを割ると

 1秒間当たり1㎠の地表に飛んでくる光子の個数は

 F= W/hν
  = 10^(-X/2.5)×4×10^-12×d/hν

 となるはずです。


④口径Dcmの望遠鏡で光子を補足すれば
 口径Dcmの望遠鏡の対物レンズの面積は 3.14×(D/2)^2 なので
 この望遠鏡で光子を1秒間観測すれば、

 N= F×3.14×(D/2)^2
  =10^(-X/2.5)×4×10^-12×d×3.14×(D/2)^2/hν

 だけの光子が網にかかることになります。


⑤7.4等級の恒星をVMC260L+ASI1600で観測すれば
 ASI1600MC系のカメラはVバンドのピークがおよそ540nmで半値幅がおよそ100nm(0.1μm)
 VMC260Lの口径は26cmなので、さきほどの数式に代入すると

 7.4等級の天体を1秒間撮影すると、6.44×10^5 個の光子がヒットする計算になります。


⑥M27を想定して試算してみると
 ⑤までの考察ごっこは、あくまで点光源の恒星から来た光が、1ピクセルに全て収まった場合の話です。
 これが、星雲など面積体の場合には全等級の光が淡く広がっていることになりますので、1ピクセルあたりに入射する光子数は激減するはずです。

 M27のVバンド等級は約7.4等級
 M27の広がりはおよそ8分×6分

 VMC260L+レデューサ+ASI1600MCでの撮影の場合
 1ピクセルが約0.42秒角に相当するので、

 M27から到達した光は、およそ92万4千ピクセル上に拡散していると予想できます

 したがって、1ピクセル当たりにヒットする光子数は、
 1秒間当たりおよそ 0.697個/秒 と予想されます


⑦カメラ側の量子効率を考慮すると
 マニュアルによれば、
ASI1600のユニティゲイン(光電子1個を1シグナルとするゲイン)は139。
 また、メーカーサイトの資料によれば、量子効率(光子1個から何個の光電子を生み出すか)は(ピーク値で)約60%らしい。
 これらを考慮すると、
 7.4等級の天体をゲイン139で1秒露光すると、
 1ピクセル当たり0.42個の光電子が発生
 することになります。


⑥ゲインと露光時間を考慮すると
 では、実際にM27をVMC260L+ASI1600MC-COOLで撮影したデータのうち
 ゲイン400+露光15秒
 のものと比較をするために、ゲインと露光時間の補正を加えてみます。

 ASI1600MC-COOLの場合、ユニティゲインを139
 撮影ゲインをGとすると
 光電子1個に対するカウント数(出力)は 
 10^((G-139)/200) で表されます。


⑦16bitFITSへの変換過程を考慮すると
 ASI1600MC-COOLは12bitのADコンバータを搭載していますが、実際にFITSデータを出力する際には、これを水増し(間に隙間を入れて)16bitデータにしていることは、以前検証しました。


 すなわち、保存されたデータの輝度は実際のカウント数の16倍( 2^16 / 2^12  )になっています。

これらを全て考慮すると、
VMC260L(レデューサ付)+ASI1600MC-COOLでM27亜鈴状星雲をゲイン400+15秒露光した場合には、
1ピクセル当たり平均2030カウントの輝度データが得られる計算になります。

 
★M27の実写データと比較してみる

実際にVMC260L(レデューサ付)+ASI1600MC-COOLでM27亜鈴状星雲をゲイン400+15秒露光した1枚画像
f0346040_02323220.jpg
を元に、M27が写っている領域の平均輝度データを拾ってみました。

・・・むう。これは緊張しますねぇ。
そもそも、大気による減光、フィルタによる減光、その他諸々を一切考慮に入れていないわけです。
また、ダーク減算は行っていますが、ベイヤー素子の現像処理で「なにか変な」事が起こっている可能性もあります。

ここは、オーダー(数値の桁数)が合えば大成功、としましょう。

・・・・で、G画素(Vバンドのため)のみの平均輝度データを簡易測定してみた結果




・・・ででん!


☆M27が写っている領域:平均7200
☆背景領域:平均4300
☆エクセス(背景を除いたシグナル)は
 平均2900

おお!

『考察ごっこ』で試算した2030に
めっちゃ近い
じゃないですか!!

え?光がロスしているハズの実写の方が理論値よりも値が大きいのは変・・・ですか?

・・・ええと、そもそもV等級のバンドパスとしてASI1600MC-COOLのGフィルタの半値幅を用いたのですが、実際の分光特性では、結構「裾野が」広がってるのでその影響と、市街地で撮影した画像なので光害が加算されている影響と、処理しきれなかった分のノイズが乗っていることなどを考慮すると、オーダーレベルでの一致は大満足、です。はい。

・・・・ああ、面白かった♪
これで、「ショットノイズの正体」に少し迫れたような気がします。

以上、完全に「自分への備忘録」兼「自己満足」のためだけの記事でした。すみません。


★★★★以下(いつか)続きます★★★


by supernova1987a | 2017-02-21 02:50 | 機材 | Comments(19)


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